みらい育成アワード2023
Award 2023

 9月24日、JPタワーホール(東京都千代田区)にて「みらい育成アワード2023~知見、実践、その想いを分かち合う~」を開催しました。本アワードは、2022年度に採択した財団の助成先の皆さまの中から、優れた活動・成果に賞をお贈りするとともに、培われたナレッジやノウハウ、その想いを分かち合うことを目的としています。

 当日は理事長の宮永俊一から開会のご挨拶をさせていただいた後、授賞式を行いました。今回は、2022年度の助成先を対象に、財団の選考委員が、グランプリ、準グランプリ、三菱みらい育成財団賞※1を選出。9団体の皆さまに記念品と目録をお渡ししました。

 受賞式後には、グランプリ受賞団体による取組み事例の紹介、リエントリー※2の助成先の皆さまによるパネルディスカッション、最後に会場にご来場いただいた皆さまでのワークショップを実施しました。

  • 対象団体が5~9団体のカテゴリーはグランプリのみ授与。対象団体が4団体以下のカテゴリーは「三菱みらい育成財団賞」を授与
  • グッドプラクティスの普及・横展開を目的に、3年間の助成終了となったプログラムの一部をリエントリー採択として新たな助成を行うもの

受賞結果

グランプリ

カテゴリー1・第1地区 新渡戸文化高等学校

心が震えた想いをプロジェクトにするために
~クロスカリキュラムで生徒の心に火をともす「SDGs de 未来構想」の教材開発~
活動内容
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【選考委員からのコメント】

教科横断型の授業である「クロスカリキュラム」、学校や地域の枠を超え日本全体を視野に入れて取り組んでいる「スタディツアー」など、ユニークかつ生徒の成長が期待できるプログラムに積極的に取り組んでいることを高く評価した。

また、同校が開発したワークシート等のツールは他校の模範となりえるものであり、同校における他校の生徒に対する門戸を広げる姿勢を含め、あらゆる面で優れた取り組みと評価できることから、同校にグランプリを贈りたい。

カテゴリー1・第2地区 神戸市立葺合高等学校

Be a Glocal Citizen! 探究から実践へ ~地域・世界に貢献する人材の育成を目指す~
活動内容
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【選考委員からのコメント】

総合的な探究の時間のみならず、学校設定教科として「国際」「学際」を設置し、通常授業と接続した多様な探究活動を行っている点が秀逸である。

また、他の神戸市立高校5校と交流発表会を開催し、定時制高校3校の生徒にも参加いただくなど、神戸市内の学びのネットワークの核として機能している。

さらには海外高校との協働活動を行う等、優れた探究の学びと実践を進められていることから、グランプリに相応しいと思料する。

カテゴリー2 株式会社 教育と探求社

「問い」で授業と出会い直す Question X
活動内容
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【選考委員からのコメント】

カードゲーム形式を採用することで導入のハードルを下げつつ、自ら「問い」をたてること、という本質的な気づきを得られるような仕組みを開発したこと、さらには実際に全国10校約1,400名の生徒が参加し、教員向け研修では68校の教員が参加し多くの教員から前向きな反応を得るといった、普及への取り組みも着実に進めていることが評価されました。今年度の教材のデジタル化により、さらに汎用性が担保され普及していくことが期待されます。

カテゴリー3 国立大学法人 京都大学

京都大学異能プログラム
活動内容
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【選考委員からのコメント】

途上国が抱える開発課題を解決するプロジェクトを立案し発表する「国際開発プランニングコンテスト」と、テクノロジーとアートを融合して発信できる次世代人材を発掘する「テクノロジーと美」の2つから成るプログラムです。多くの関係者の賛同を得て、高い水準で目標を達しています。この活動が生徒・学生の潜在力を高める検証ができればさらに興味深く、また、大学間で連携したアントレプレナー教育の共有を構築中で、今後の広がりも期待されます。

カテゴリー4 学校法人 早稲田大学 スポーツ科学学術院

専門領域と融合したアカデミックスキルズ教育 ―「共有し、考え、伝え、発信する」
活動内容
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【選考委員からのコメント】

対話、ライティング、学生同士でのピアレビュー、プレゼンテーションといった、言葉を用いるアカデミック・スキルズを高める初年次教育プログラムであり、学部の専門領域である、スポーツに関わる社会課題を題材とすることで、学生の興味を引き付ける点で、優れた教養教育プログラムです。また、1学年400人規模での必修の初年次教育であり、クラス毎に年齢層の異なる複数の教員が担当し、組織的に実施されるプログラムとなっています。

準グランプリ

カテゴリー1・第1地区 島根県立松江東高等学校

地域共創人育成Project アドバンスト 
~子どもも育つ 大人も育つ 地域共創の拠点づくり~
活動内容
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【選考委員からのコメント】

地域について大学生や大人と語り合うミーティングは、地域にとっても多様な価値観を得る場となるなど相乗効果を創出している。関係する人々全体の学びと成長を、地域の人材育成ととらえ、高校の枠を超えて実践している点を高く評価した。

また、同校の取り組みは、地域連携の探究を継続的に取り組んでいくための非常に優れたモデルと評価しており、他校の参考となる。今後、好事例を多く発信していただける事も期待して、準グランプリを贈りたい。

カテゴリー1・第2地区 鹿児島県立福山高等学校

現代版郷中教育による未来の人材育成プロジェクト
〜地域で活躍できるクリエーター・イノベーターの育成をめざして〜
活動内容
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【選考委員からのコメント】

高いレベルでの地元の企業・自治体との密接な連携や、リモートと合宿を活用した大学との連携により、「現場、現実、現状の三現主義」に基づく取り組みが着実に功を奏し、生徒によい刺激を与えている。

また、脆弱な交通インフラと情報環境を補うための地元企業との連携を開拓する等、持続可能なかたちで実施している点も評価できる。

中山間地域における教育のモデルとして他への波及を期待し、準グランプリを贈りたい。

カテゴリー2 一般社団法人 ウィルドア

課外にある学びの資源を“選択・活用する力”を育み、
実行するための“つながり”を届けるプログラム「willdoor」
活動内容
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【選考委員からのコメント】

高校の探究の授業では課題が見つけられない生徒が、個別に課外活動として取り組める様に3種のメタバース空間を開発し、全国から延べ229名の生徒が参加し、その中で自らの「問い」を見つけ成長する仕組みを実証した点が評価されました。

必ずしも学校での活動の中で気づきを見つけられない場合でも、気軽に参加できる環境を用意すること、さらにその中で自らの「問い」を見つけ探究することで、それぞれ単独で参加し一緒に活動している他校の生徒同士が成長していく新しい形が評価されました。

三菱みらい育成財団賞

カテゴリー5 一般社団法人 ELAB

主体的・協働的学習を推進するための「創造的コミュニケーション力」開発講座
活動内容
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【選考委員からのコメント】

本プログラムは、福島県下の特徴ある3高校を対象に管理職を含む教職員を対象とするプログラムですが、一部高校生も参加する工夫も見られ、受講者が創造的思考を高められたことが推察できます。また、受講した教員がそれぞれの教育現場で、このプログラムで得たものを還元され、効果が広まることや、教育委員会との連携が進んだことも高く評価できます。今後は、これまでのプログラムの継続・発展と、他の都道府県への展開にも期待したいと思います。

パネルディスカッション・
ワークショップ

 京都大学総合博物館の塩瀬隆之氏をファシリテーターに、リエントリー制度に採択された4団体の東京都立八王子東高校の島津 聡氏、長崎県立長崎東中学校・高校の鳥居正洋氏、一般社団法人i.clubの小川 悠氏、国立大学法人筑波大学の今清水 真理氏によるパネルディスカッションを実施しました。

 塩瀬氏の「取り組みを継続させるための仕組みは?」という問いに対し、i.clubの小川氏は「学校と協働する立場としては、探究活動の中心となる先生の異動は気になるが、取り組みの内容やニュアンス等、“外部ストレージ”として記憶できる部分もあると思うので、そのような面でサポートしていきたい」と答え、塩瀬氏も「先生が異動しても、学校のことを良く知っている外側にいる人が学校や先生のすぐそばにいるというのは大きな仕組みであり、そこに対する支援として財団が“カテゴリー2”を設けているのは慧眼だと思いました」と返しました。筑波大学の今清水氏は「今年度新たに取り組みたいと申請したことの一つが、GFESTという高校生向けの取り組みと、SKIPという小中学生向けの取り組みの共同イベント。双方の参加者にとっていい刺激になるという効果以外にも経費削減等効率化にもつなげることができた。こうした工夫を重ねていきたい」、八王子東高校の島津氏は「探究部という部署があり、5名程度の先生が所属していて、先生の異動があっても知見を継承できるようにしている。また年度初めには教員も生徒も参加しての探究オリエンテーションを実施して、新入生、異動されてきた先生に本校について知ってもらう機会を設けている」、長崎東高校の鳥居氏は「継続するには、文化や風土にしてしまうことが重要。教員に関しては、部署を超えた校内企画委員という組織があり、全教員で探究を自分事化する議論ができる場がある。またピアサポートといって3年生が1年生に探究を教える取り組みをしているので、生徒の中で探究への姿勢が循環している」と答えました。

 続けて、リエントリーで追加申請したことや、会場・オンラインから寄せられた質問にも答えていただき、最後に塩瀬氏が「財団自身がこのような場で事例を共有すること自体が探究にもなり、探究の風土文化が助成先の皆さんの横のつながりから広がっていくことを期待したい」と締めました。

 休憩後には、会場の参加者の皆さんには3~4人のグループを作っていただき、簡単な自己紹介の後に、「ここまでの話を聴いて思ったこと、感じたこと」「助成期間が終了した後にも教育活動が継続・発展していくためには?」について話し合っていただきました。

閉会式・懇親会

 財団常務理事の妹背正雄からは、9月に発刊したアニュアルレポートと12月に開催予定のイベント「RIKEIブロッサム」を紹介するとともに、「対面で助成先の皆さまにあまねくお集まりいただいたのは今回が初めてであり、グループでのディスカッションを通して交流いただいたかと思いますが、この後の懇親会でさらに多くの方と繋がりを深めていただきたいと思います」と挨拶させていただきました。(写真左)

 懇親会では、乾杯に先立ち、財団理事の鈴木 寛氏が「現場で頑張っていらっしゃる皆さまが横の連携を強くし、悩みや課題を共有するネットワークを作ることはとても重要なことであり、これをリアルで実施することを願っておりましたが、新型コロナの影響でなかなか実現できませんでした。本日、みらい育成アワードが実施できて、私の念願がかないました。皆さんのおかげで日本の教育は変わってきましたが、これからとても大事なフェーズに入ってきます。日本と世界の子どもたち、若者たちのために共に頑張っていきたいと思います」と挨拶いただきました 。(写真中央)

 参加者からは、「リアルに、これだけの方々と直接話ができ交流ができて、すごく刺激になりました。中でもカテゴリー2の方のお話は新鮮で、学校現場がこうした外部リソースを活用しないのは、子どもたちにとってマイナスになると感じました。本校だけでなく周辺校にも何ができるのかを考える材料を持って帰ることができたと思います」(カテゴリー1)、「『筋の通った探究活動』や『探究の風土・カルチャーの醸成』等、自走する上でのポイントとなる言葉、考え方をたくさん吸収することができました。本校でも取り入れて、改善に結び付けていきたいです」(カテゴリー1)、「助成先の多くが、探究を自立させるために、うまく予算を確保しながら、外部の力を使っているのが実態なのだとわかりました。学校としては、探究を通してお子さんたちに素晴らしい学びの機会を提供することができていると思うので、それを社会全体でどのようにシステム化していくかということが今後大事ではないかと思いました」(カテゴリー2)といった感想が聞かれました。

三菱グループのオフィシャルサイトであるmitsubishi.comにも紹介いただきました。