カテゴリー 12022年採択

成蹊高等学校

対象者数 340名 | 助成額 100万円

https://www.seikei.ac.jp/jsh/

Program新たな価値を創造する先駆的挑戦
~成蹊スタートアッププロジェクトSEIKEI STARTUP Project~

 本校では、これまで生徒の知的好奇心や科学的探究心を育む探究型プログラム(Project Based Learning: PBL)を年間50以上実施してきた。特に中学3年生と高校2年生の活動が活発化する中、本プログラムはその間に当たる高校1年生340人を中心に据えたものである。そして、2021年度から取り組み始めたSEIKEI STARTUP(起業家精神育成)を柱に、下記の目標を軸に、二つのチャレンジを生徒と教員とが協働しながら実行していく。

 

【プログラム目標】

問題の本質を捉え、解くべき課題を定め、解決に向けて他者と協働し協創する(0 to 1の精神を育む)。

 

【活動内容】

〇チャレンジⅠ(放課後、期休みを用いて実施。4〜12週間のPBL)

・コーポレートPBL:企業と共に課題解決に取り組む

・SDGs PBL:身近な問題を自分事化し、解決方法を模索する

・スタートアップPBL:新しい視点で創造的に取り組む

 

〇チャレンジⅡ(総合的な探究の時間と放課後を用いて実施。高1全生徒対象)

・文化の総合イベントPBL:文化祭、学習旅行、アカデミックウィーク

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活動レポートReport

全員参加と希望制で多様なPBLを用意

 1906(明治39)年に学生塾(翌年に成蹊園と命名) を創立した中村春二は12(明治45)年、三菱財閥の第4代総帥となる岩崎小彌太(後に成蹊学園理事長)ら友人の協力で成蹊実務学校を創立。建学の精神「個性の尊重」「品性の陶冶」「勤労の実践」は大正自由教育の一翼を担い、現在は1キャンパスに小学校から大学までを擁した一貫教育を行っている。実務学校で中村が取り入れた黙想による精神集中法「凝念」は、今も中・高校の朝礼で継承されている。

 故安倍晋三元首相の同級生でもあった仙田直人校長は2021年度に都立高校長から母校に戻ると、建学の精神を踏まえ、解答のない社会であっても新たなものを創造する「0ゼロto1ワン」の発想を持つ生徒の育成を校長方針に掲げるとともに、探究学習を導入。22年度は中学校3年生から高校2年生までをつなげる学年PBL(課題解決学習)プログラムを構築した。

 高1の「成蹊スタートアップ」は、希望者参加型の「チャレンジ①」と、全員参加型の「チャレンジ②」で構成する。このうちチャレンジ②では、まず「文化の総合イベントPBL」として10月の文化祭でAR(拡張現実)アプリ「マチアルキ」を使ってクラス展を紹介。その後、「学習旅行×探究」と銘打って、高2で実施する探究型学習旅行(夏と春のコース選択制)を企画する。クラスごとに3~4名の班を作り(全88班)、ホームルームや放課後にブレーンストーミングや対話を重ねながら約2カ月かけて詳細な旅行プランを作成。クラス内の第1次選考を経て、代表9班(担任団推薦も含む)が旅行会社5社の担当者も出席する2月の学年プレゼン大会に臨む。その後、各社が実現可能なプランに落とし込む予定だ。

 チャレンジ①では、三つの柱を用意。「コーポレート(企業)PBL」では大正製薬と連携したリポビタンDのラベルを開発し、送る相手にメッセージを自由に書けるようにした。「SDGs(社会課題)」ではインドネシアBina Bangsa Schoolとの国際協働でプラスチックの過剰利用や水質汚染、エネルギー問題の探究学習に取り組む(エアパンゲア社との共同企画)。「スタートアップPBL」は長崎県の五島列島をフィールドに、島の課題を発見して解決策の提示を目指す。

 23年度は各PBLを2年生まで拡大し、江崎グリコとの商品開発や学内の「ケヤキ循環プロジェクト」などに挑戦する予定。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

学園大講堂で行われた「学習旅行×探究」の高1学年プレゼン大会。パフォーマンスたっぷりの発表に、コロナ禍で抑えられていた声援も飛んだ。スマホアプリで即座に投票できるようにしたのも、Society5.0時代への対応だ。

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