カテゴリー 12023年採択

福島県立猪苗代高等学校

対象者数 57名 | 助成額 100万円

https://inawashiro-h.fcs.ed.jp/

Programフィールドは猪苗代町!
実践から始まる「やってみたい!おもしろそう!」をカタチにする探究プログラム

 全校生徒58名。地域に密着した小規模校だからこその機動力を活かして、生徒自身が地域で見て聞いて体験することで「やってみたい!おもしろそう!」を見つけ、地域で実践・カタチし、新しい気付きから更なるチャレンジを繰り返していくプログラムとなっている。

・調べ学習ではなく、とにかく実践からスタート。実践と失敗から学びに繋げる

・3年間かけて自分の「やってみたい!おもしろそう!」を見つけカタチにしていく

・自己理解と他者理解

・さまざまな地域の大人による徹底伴走

 1年次はとにかくさまざまな場所に赴き体験し、その中で生まれた「やってみたい!おもしろそう!」を2~3年次にカタチにしていく。実践を通して自分自身で選択し失敗をすることで気付き、学びを言葉にし、次の「やってみたい!おもしろそう!」を見つけカタチにする事を繰り返す。なぜ自分はそう感じるのか?考えるのか?について考えること、他者との関わりの中で思いがけない考えに触れ、価値観が揺さぶられる経験をすること、情熱をもって地域課題に取り組む地域の大人が徹底して伴走することで、身近なロールモデルの下で自分の思いをどうカタチにしていくかを考えていく。こうした経験を軸に、困難な課題も自分事として他者と協力しながら、おもしろがってチャレンジしていける力を育んでいく。

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活動レポートReport

特別非常勤7人が指導、地域の一員として育つ

 1月27日に猪苗代町体験交流館「学びいな」で開催された、2023年度の地域探究学習「猪苗代学」学習発表会。ステージ前には町内で活躍する7人が任命された特別非常勤講師の他、学校評議員、学校運営協議会委員、近隣学校の教職員など20人以上が並んだ。全校生徒(57人)の半数に近い数だ。

 午前の開会行事の後、1年生はロビーで全員がポスター発表。その後、ステージ上で2年生のゼミ制グループ別の全4班と、3年生を代表して「外来種の活用班」「農業班」が成果を発表し、来賓から具体的なアドバイスを得た。午後は共催で同町内をフィールドワーク先の一つとする福島大学食農学類の成果報告会と、教育系ベンチャー企業「オーナー」ディレクターの菅野定行・元宮城県石巻西高校長の講演があった。

 磐越西線で会津地方の中心地である会津若松市と、東北新幹線が停車する郡山市の中間点にある猪苗代町。町内唯一の高校である猪苗代高校は平成の終わりごろ、他校と統合するか、学年2学科(普通科と観光ビジネス科)を1学級にするかの選択を迫られた。20年度入学生より普通科1学級(普通、ビジネスの2コース制)とするとともに、猪苗代学を開始。21年度からはコミュニティ・スクールも導入した。

 講師をはじめ、地域人材の手厚い教育を受けているのが特色だ。第1学年は入門編として観光、農業、防災の3分野を全員で学ぶ「享受」の時期。2年生は▽農業▽中ノ沢地区活性化▽猪苗代湖水質改善▽アートルーム活用――の4班に分かれ、それぞれ講師と相談しながら体験を通じて学び、主体性を発揮する「自立」への移行期間と位置付けている。3年生は6班に分かれながら自由型個人探究を行う(23年度)。

 講師の一人で、会津伝統野菜づくりや農業体験などを行う「のうのば」の土屋勇輝さんは学校運営協議会の会長も務める。猪苗代学をきっかけに、NPO法人を通じて地域自体のつながりも広がったという。生徒も子ども扱いするのではなく、地域社会の一員として「一緒に育っていくというイメージが強いですね」と話す。

 地域探究担当の遠藤崇教諭によると、猪苗代学は「たくさんの失敗と反省を重ねて」毎年改善を続け、22 年度入学生から体制が確立した。「失敗を許そう」という合言葉は生徒の積極性も育み、郡山市内で行われた福島大学の発表会では質問の約8割を猪高生が占めたという。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

いずれも見せ方や発表の仕方に工夫をこらした1年生のポスター発表。「何度も練習しました」という國井彩矢さんはコミュニケーションにも徐々に慣れてきたといい、猪苗代学は「猪高の魅力です」と胸を張った。

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