Program倉高 ONLY ONE 計画
総合的な探究の時間等の授業内での取り組みとして、「課題解決に向けて、主体的に取り組むことができる」生徒育成のための教育プログラムを実施する。この教育プログラムにより出てきた発想を基にして、地域社会で活動できる取り組みを支援する。これにより、地域が抱える社会課題を生徒が主体的に解決する活動として実施する。
第1学年では、地域の課題を発見し、解決するための方法をSDGsの観点から考察する活動を実施する。地域の課題を調べ、 自分の事と捉えて解決策を考察する。市役所、大学、研究機関、企業等と連携し、さまざまな社会人からの講演を通して、生徒の勤労観や職業観を育成する場とする。さらに実際に施設訪問を通して、生徒自ら考えた地域課題に対する解決策の妥当性について評価する活動とする。
第2学年では、生徒の興味・関心に合わせつつ、キャリア教育の一環として自身の進路の方向性と同じ課題探究活動を実施する。これらの活動の中から、 授業以外の時間において生徒が自主的に活動する地域貢献活動に対して学校として推奨・助言し、地域に貢献する取り組みを強力に推進していく。
活動レポートReport
SSHから自主的な探究活動へ
2005年度から3期にわたって文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として、理数系の課題研究でも先進的な成果を挙げてきた。さらに一層の飛躍を果たすためには、文理を問わず全生徒に▽文章や情報を正確に読み解く読解力とコミュニケーション能力▽科学的な思考力・判断力と活用能力▽時代に応じた価値を見いだす感性と知的好奇心・探求力――を身に付けさせることが必要だと判断し、SSH指定は19年度で「卒業」(現在は経過措置)。20年度からは「倉高ONLY ONE計画」をキャッチフレーズに、新しい教育活動を展開することにした。探究活動推進課主任の井手聰義(あきよし)教諭(4月から県立筑紫丘高校)は「自主的に探究活動を行える生徒を育てたいと考え、土日や放課後にも興味・関心を持つ活動や進路と同じ方向性の課題探究活動を活発に行える仕組みをつくっていきました」と説明した。
具体的には総合的な探究の時間等を使い、第1学年(課題研究Ⅰ)では全員が北九州市の課題を発見・解決するための方法を考察する活動として、▽地域が抱える課題の解決策を考えることをテーマとした「スタディツアー」▽進路や自らの将来の夢を具体的に考える「ユメカツ」▽思考力・判断力・表現力の育成を目的とした「シントレ(シンキング・トレーニング)講座」――を行う。20年度はコロナ禍の制約もあったが、10月にスタディツアーとしてSDGsの17の目標と関連付けた14の体験学習コースを用意できた。例えばフードバンク北九州ライフアゲイン→八幡東区役所→コストコのコースでは目標1「貧困をなくそう」に基づき、こども食堂の業務を体験して課題解決のケーススタディを学ぶ、といった具合だ。
第2学年(課題研究Ⅱ)では、キャリア教育の一環として、自らの進路や興味・関心に沿った課題探究活動を実施する。20年度は学部・学科の系統に合わせ、「法律・政治」、「社会・メディア」+「教育・福祉」、「家族・生活」+「看護・保健・衛生」、「医・歯・薬」など延べ14ゼミ(人数調整で11ゼミに合体)に分かれた。理数系への進学者が6割を超える中、文理融合的な課題探究も目指したという。
第3学年は希望者に限定し、大学入試の成果につなげるなど、本格的な探究活動を行う。
渡辺敦司(教育ジャーナリスト)