カテゴリー 12021年採択

三重県立津西高等学校

対象者数 640名 | 助成額 200万円

http://www.tsunishi.jp

Program夢を叶え、未来を紡ぐ「津西!探究Education」
~学校全体で取り組む「探究学習」~

 1学年、2学年の総合的な探究の時間において、探究的な学びである「人権探究学習」「地域をテーマとした課題研究」、また課外学習として「津西SPP」「津西グローバルチャレンジプログラム」を実施する。

 これらの取り組みの充実・発展のため、令和3年度は、①校内の推進体制の強化、②教員の指導力向上、③地域との連携協力体制の強化、④生徒の学びの深化、の研究に取り組む。 

・人権探究学習(1年生):10のテーマに分かれて、事前学習、講師による講演、事後学習(マインドマップの作成、グループ討議、クラス発表、全体発表)を実施 

・地域をテーマとした課題研究(2年生):地域をテーマとした課題についてグループで、課題設定、仮説設定、研究、中間発表、全体発表、振り返りの一連の学習を実施 

・津西SPP(1年生国際科学科):科学する心や探究する心を育むため、三重大学との連携による実験・実習(風力発電実験、水の電気分解と燃料電池実験、ロボットの制御実験、地域の小学校等での「サイエンスセミナー」等)を実施 

・津西グローバルチャレンジプログラム(希望者):大学・地元企業との連携による「新商品開発企画」やEnglish Campを実施

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活動レポートReport

常に試行錯誤を重ねる 人権探究学習と課題研究

  1974年度、学校群制度の導入に伴って津駅からバスで10分ほどの新興住宅地「河辺の丘」に新設された津西高校。同じ第2群で1880(明治13)年創設の旧制中学校を前身とする津高校とは違った学校づくりを図ってきた。95年度に学校群が廃止されてからも「津高に負けるな」と特色づくりに取り組んでいる。2000年度には国際科学科(2クラス)を設置して、単位制も導入。07年度からは文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けた。

 SSH指定終了後も、▽科学技術振興機構(JST)「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)」指定(13年度)と、それを継承する国際科学科1年生対象の「津西SPP」(14年度から)▽1・2年生の希望者を対象に大学や地元企業と連携して新商品開発を企画したり、ニュージーランド海外語学研修を実施したりする「津西グローバルチャレンジプログラム(GCP)」(17年度から)▽2年生全員を対象とした総合的な探究の時間「課題研究」(同)――を実施するなど、常に試行錯誤を続けてきた。

 20年度には、1年生の総合的な探究の時間に全員で「人権探究学習」を開始した。持続可能な開発目標(SDGs)、女性の人権、多文化共生、性的指向・性自認に関する人権など10のテーマに分かれ、講師による講演や事前・事後学習を通して、グループ討議や発表など、探究的な学びを実践する。
 2年生の「課題研究」も、試行錯誤を重ねている。生徒がなかなかテーマを固められないことから、昨年度からは7月に「研究構想発表会」を実施し、外部の専門家10人以上を呼んでアドバイスを受けることにした。

  4年前まで同高教諭(生物)だった池山直子・県教委高校教育課指導主事とともに助言者としてあるクラスに並んだのは、卒業生でもある松田裕子・三重大学地域イノベーション学研究科教授(学長補佐)。「当時はこんな授業はなかった」と驚きながらも「進学校の生徒は『頭』でやろうとする」と注意を促し、大学にもつながる学びに期待をかける。
 毎年関わっている松井強・特定NPO法人世界SHIENこども学校のびすく理事長も「地域の大人たちとの真剣な出会いで生徒の自己肯定感が高まり、目の色も違ってきました」と目を細めた。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

研究構想発表会で発表者には「リサーチクエスチョンは何だっけ?」、他の生徒には「質問は?」と問い掛けるクラス担任。こうしたきめ細かな指導体制も、徐々に浸透してきたという。

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