Program世界も地域も私も変わる“Suito Action Project for SDGs”
生徒が自らSDGs達成に貢献するため社会課題を解決していく「Suito Action Project for SDGs」という講座を開講し、SDGs達成のためのプロジェクトの企画・遂行をしていく。
以下が特徴となる。
1.SDGs達成をテーマに据えた国際理解教育プログラムであるとともに、SDGsに貢献するため社会問題を解決していく課題解決型の学習プログラムである。
2.中1から高3までの多学年にまたがるプロジェクトチームを組み、協働的な活動を展開していく。
3.プロジェクトチームには、外部の活動団体や有識者と連携しながら活動を進めてもらい、社会に開かれた教育課程を推進していく。
4.活動を通して、国際理解、協働、問題解決の資質を向上させるとともに、成功体験を蓄積することで将来にわたる生徒の社会問題参画への使命感、肯定感を高め、持続可能な社会の創り手を育成していく。
5.カリキュラム開発として、持続的・継続的に本プログラムを実施していくための体制構築等を含めて計画されたプログラムである。
6.中学、高校の全生徒、全教員が参画する全校体制で行う教育プログラムであり、全国の学校や教育機関にその成果を発信することを目指している。
活動レポートReport
SDGs達成への貢献活動が社会に貢献する協創力を磨く
国家戦略特区制度を活用し、全国初の公設民営の中高一貫校として2019年に開校。大阪市が設置した公立校だが、管理・運営を担う大阪YMCAの学校運営や英語教育のノウハウ、海外ネットワークなどを活用し、グローバルな教育・留学などのプログラムを実施している。世界的に通用する大学入学資格である国際バカロレア(IB)の認定校でもある。
開校3年目を迎え、中高の全学年が揃った21年度からは、生徒自らがSDGs達成に貢献するために社会課題を解決していくSuito Action Project(SA)という課題解決型学習をスタート。週に2時間が割り当てられているSAでは、中高全生徒(※)と全教職員を、各自の希望に沿った6学年にまたがる50程度のチームに分け、それぞれが掲げたテーマに基づいて活動している。
進行中のアクションプランは、「古着の回収と再利用の仕組みづくり」「ジェンダー平等をテーマとした絵本の作成と読み聞かせ」「古い計算カードの回収と途上国での有効性検証」「食品ロス削減のための食料回収と寄付」などバラエティに富む。また、教職員の3~4割が常勤の英語ネイティブで、長年にわたる国際協力従事者も多数在籍するという特徴的な人材も、当活動の運営には重要な要素となっている。
初年度につき、まだ体制の構築や基礎学習に多くの時間が割かれているが、高学年がリーダーシップを発揮して多学年チームをリードする形は出来上がりつつある。 「数年間は試行錯誤が続くことは折り込み済み」と語る佐藤吾朗教諭は、段階的な課題を踏まえてPDCAサイクルを回し、より良い形に改良していくイメージだと言う。
「今後、大学の先生とCo-workすることで、この学びを中高大の10年間連続のものにもでき、もっと広い社会とつながれば、学びの世界はさらに広がる」と井上省三校長は近い将来の形を語る。そのためには、コンテストへの参加や学会での発表の機会を増やして経験を積ませるとともに、活動の成果を広くアナウンスしていく必要もある。学校には珍しい広報専属のスタッフを置き、さまざまなメディアを使って活動を紹介しているのは、そうした理由によるもの。一方で、外部有識者や新たに設立した運営指導委員会から、定期的に助言や提言を受ける体制も整備していくという。
※21年度の高3に限っては、活動できるのが1年間ということを鑑み、SAには参加せず、別の授業に充てている。