カテゴリー 12021年採択

広島市立舟入高等学校

対象者数 320名 | 助成額 100万円

http://www.funairi-h.edu.city.hiroshima.jp/

Program広島、日本、世界へ届け! 舟入の「問い」!
~「問い」から始まり、「問い」で終わる舟入の「問い」立て探究~

 舟入高校独自の「問い立て」手法を用いた探究活動を要とし、各授業やプログラムで身に付けた汎用的能力を用いて、国内外に「問い」を発信していく。

 本教育プログラムは、生徒が多様な価値観に基づき、主体的・協同的に探究活動に取り組めるよう「総合的な探究の時間ABLEの拡充」「国内外との連携」「問い立てに必要な幅広い視点の習得プログラム」を三つの柱としている。国内外を取り巻く課題に対して舟入高校独自の「問い立て」メソッドを用いて、総合的な探究の時間に「問い立て」を繰り返し行う。それにより自分から遠い存在の「問題」を「自分事化」していった後、それを発信していく。その発信先は、広島県内から、日本国内の企業や大学、本校と連携があるフランス、韓国、ドイツ、アフガニスタンとさまざまである。

 またそれを支えるための幅広い教養と視点を習得するため、文理混合で行う総合的な探究の時間の設置、一つの授業を複数の教科担当がチームティーチングを行う教科横断型授業の提供、舟入高校模擬国連の実施等、多様な「学び」の場を設けている。

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「問い立て」から生涯を かけられるものを見つけ出す

 「探究の時間」の教室をのぞいていた柳 智子校長が、そばにいた生徒に声を掛ける。「あなたのテーマは?」「防災です」「その問いは?」「若い世代が自分ごととして防災に関わっていくためにはどうすればいいか、です。防災士の資格をとって、自治体や自主防災組織にヒアリングしています」。どの生徒に探究テーマの問いを尋ねても即座に返事がある。「問い立て」――生徒自らが問いをつくり、情報収集・分析・整理し、またそこから問いをつくっていく探究手法が浸透していることがよく分かる。

 「探究活動をさらに進化させたいと考えていた時に出合ったのが、『問い立て』でした」と柳校長は話す。まず専門家を招聘して教員・生徒の前で講義をしてもらい、柏原奨平先生が「問い立て」を取り入れた指導要領をつくり上げ、昨年度から本格的にスタートさせた。
 2年生はクラスに関係なく、大学の科にならって、文学、心理、語学等の文系、化学、工学、物理などの理系と、自分の興味のある科に分かれ、そこで「問い」を立てていく。同じような「問い」でグループをつくり、なければ一人で取り組む。ネットでリサーチする、企業へ取材のアポを取る、実証実験に必要な素材を揃えるなど、活動は生徒の自主性に任せ、教師はアドバイスをするぐらいで、「正解」を教えることはない。「もがく過程が大事。授業内、また高校にいる間に解けなくてもいいんです。むしろその問いを大学やその先まで持っていって欲しい」と柳校長。柏原先生も「問い立てを通して、自分の関心が明確になり、今年の3年生は大学名ではなく、『この研究をしたい』という理由で進学先を選んでいます」と話す。「問い立て」は、一部通常の教科にも取り入れている。地学であれば、「化石とは何か」「この地層はなぜ3層に分かれているのか」などの問いを立て、リサーチし、「問い立て」を習慣化させている。

 「問い立て」を取り入れた目的は、柳校長の言う「大学とその先」だ。大学の科にならっているのも、大学の志望先を明確にするため。「社会に出ても問いを立て、解を求めていくプロセスの繰り返しです。自分の生き方につながる何かをここで見つけてほしい」(柳校長)。「問い立て」で生涯をかけて取り組んでいけることを見つけられるか、その手ごたえが出てくるのは10年20年以上先のこと。「それが今から楽しみです」と柳校長も柏原先生も口をそろえて話す。

ALTの先生に、海外の企業への取材方法について相談する生徒。H&M本社とサステナブルファッションについて質疑を交わした生徒もいるという

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