Program「SOUTH探究プロジェクト~Beyond Yourself」
…大学・地域と連携し、探究力の育成を通して、生徒が本気で学びたいという意欲を涵養し、大学での学びにつなげる
スクールポリシーを実現するために、地域や大学と連携した進路設計や探究活動を行い、情報発信力や課題解決能力を育成することを目指す。
■1年次 探究学習の基礎(リテラシー)を育てる。
・企業訪問:「フィールド・スタディ」地域企業と連携し、課題発見・課題解決方法を地域企業をテーマにして学ぶ
・地域探究:地域行政機関と連携し、身近な地域を課題にして探究をすることで、将来の社会との関わり方の視野 を広げる(後半)
■2〜3年次 探究力の向上
・大学連携講座Ⅱ:富山大学と連携し、将来進む可能性のある学問分野に関係した研究活動等を体験し、探究力・ 自己発信力を育成する。
・イノベータープログラム:アントレプレナーシップ講座およびグローバル講座を実施し、世界観を醸成するとともに 自らの在り方生き方を考えさせる。
・データサイエンス講座:探究リテラシーをさらに発展させる。
■希望者研修
・大学実習:近隣の大学を訪問し、実験実習を行う。
・国際理解研修(海外研修代替研修):12月に東京にて2泊3日で実施する。
研修中にグローバル講演会を行い、 高い志を持って将来の進路について考えさせる。
活動レポートReport
挑戦心に火をつけたアントレプレナーとの出会い
探究プロジェクトは2021年度から動き出している。「SOUTH」の由来は校名だけでなく、「Study:高みを目指して学ぶ Originality:新たに創造する Universal:真理を探究する Team: 他と協働するHonesty:誠実に取り組む」のスクール・ポリシーに倣ったもの。OECDの「2030 年に向けた学習枠組み( LearningFramework)」も意識し、地域や大学と連携した探究を通して情報発信力や課題解決力を育成することを目指している。
1学年は探究リテラシーを習得するため、企業訪問や高岡市と連携した地域探究を実施した。3月の発表会には市役所や商工会の職員も招待しディスカッションも行うなど地域とのつながりを大切にしている。
2年次は富山大学と連携し、大学の学びが社会につながる視点を持てる探究を計画した。8グループに分かれ、研究室訪問やリモート講義を経て探究を進める。その成果は学外でも積極的に発表できた。県内18の高校が参加し社会課題を討論する「富山探究フォーラム」に3グループが参加。県内を走る城端線、氷見線のBRT(次世代路面バス)化などホットな地域課題について自らの考えを提起している。
これらの成果はポスター用掲示パネルを購入し校内に常設掲示。テーマを設定する際のヒントにすることで、ゼロからのスタートではない探究の手がかりを得られる効果があるという。他にも、2年次は大学での学びで今後必要とされる「データサイエンス講座」、希望者を大学に派遣する「大学実習」、東京でグローバル人材に話を聞く「国際理解研修」などを新たに企画した。
最もインパクトがあったのは「アントレプレナーシップ講座」だ。シリコンバレーを拠点に活動する起業家を招き、オンラインで連続講座を行った。失敗を恐れず挑戦するマインドの重要性を知った生徒は「高岡南高校をアップデートする」をテーマに議論し校内発表を行った。この学年は現在、コロナ禍で中止された研修旅行を自分たちの手で復活させる準備を進めている。持続可能な社会づくりの提案で全国大会に出場するグループも出てきた。
「他者に自分の考えを伝え、つながりながら巻き込んでいく経験を通して生徒の挑戦心に火が付いた」(笹川正浩教諭)ことから、今年度は1年次の探究の冒頭に「アントレプレナーシップ講座」を移動した。生徒がどのような姿勢で企業訪問や地域探究に望むのか期待が高まっている。
長尾康子(教育ジャーナリスト)