Programオール宮城で育てる未来を拓く
グローバル人材の育成
本校の卒業生はほぼ四年制大学に進学をするため、高校での学びは大学に続いており、学び続ける行動力と未来を拓く確固たる意思を持った生徒を育てたい。そのためには、高校段階からさまざまな人や物と出合い、多様な考えや事象に触れながら合意を形成し、問題を解決できる能力を育成する必要がある。各教科で学んだ知識を教科横断的かつ文理融合させ、宮城県にある教育環境を活用することで、それらを成し遂げようとするプログラムである。
1年生 課題解決のための知識やスキルの習得、自らの興味関心に基づいた課題を設定し検証
2年生 日本や世界で起きている諸課題に対し、SDGsの17の目標と関連付けながら、再度課題を設定
3年生 日本語や英語の論文を作成することで伝える力を育成
各科目で学んだ知識や見方を統合させ、以下の点を重視する。
1.本物に触れる機会の充実による動機付け
研究室訪問や施設・企業見学による最先端の事象との出合い、東日本大震災や台風・豪雨災害からの学び
2.学術的な指導助言による刺激
大学教授等からの専門的な指導助言
3.外部での発表や海外交流による加速
県内SSH・SGH指定校における発表会への参加および招聘
台湾・オーストラリア・英国の学校との交流・研究発表、在仙留学生との交流・研究発表
活動レポートReport
課題探究から「探究科」開設へ
前身は1897(明治30)年創立の仙台市高等女学校(のち県立移管)から続く宮城県第一女子高校で、2008年度の共学化で現在の校名に改称するとともに、単位制に移行した進学校。女子高時代から理数科(学年2クラス)を設置するとともに、02~06年度には初のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定された経緯から、大学の研究室訪問や講演会、課題研究に蓄積がある。
近年、Society5.0に向けた学校改革や、SDGsを意識した教育を展開する必要から、22年度には理数科を「国際探究科」「理数探究科」(くくり募集、2年次から)に改編する。その準備段階として、県内の教育環境を活用しながら教科横断・文理融合による教育活動を展開し、大学で学び続ける行動力と未来を開く確固たる意志を持った生徒を育てようとしている。
まず、1年次の総合的な探究の時間で課題解決の知識やスキルを習得した上で、興味・関心に基づいた課題を設定し検証。2年次では課題を日本や世界の諸課題に広げ、SDGsの17の目標と関連付けながら検証・解明していく。3年次には日本語や英語の論文にまとめ、伝える力を育成する。
校内体制として、分掌横断の「探究教育センター」を設置。19年度からオリジナルテキストを作っている。20年度版の1年次テキストは、統括チーフの三嶋廣人教諭が前任の気仙沼高校で培ったノウハウも生かして、「疑問を持つ力・思考ツール」「数字を疑う・図表を読む」「答えのない問」「アンケート調査」など詳細な解説を盛り込んだ。
今年は東日本大震災から10年を迎える。1年次はぎりぎり記憶が残る世代だが、今後、震災災体験の風化も懸念される。将来のリーダーとして、防災の視点を持ってほしいという願いがある。2年次の修学旅行は関西と台湾の選択制で、両者の比較はもとより、被災地としての視点も重視。県内の理数科や災害科学科の設置校、SSH、SGHの指定校とも連携を進めたい考えだ。
渡辺敦司(教育ジャーナリスト)