Program嚶鳴クリエイティブ・ラボ
~ グローカル人材の育成:友と学び 共に未来を創る ~
教育・文化・科学・コミュニケーションの各分野において、SDGs達成や平和のための国際協力に資するグローカルな人材育成を目指す。
1年次の総合的な探究の時間では、探究の手法を学ぶとともに、「山形を知る」として地域の課題解決の実現に向けて、2年次文型では進路志望に関連した領域について、理型では「理数探究」の中で、教科の枠を超えたSTEAM領域について探究活動を実践する。
実施に当たっては、地域住民、地元企業等に加え、教育連携協定を締結している山形大学、東北芸術工科大学と連携し、探究活動に対する大学教員からの助言、大学生等との協働的な活動、研究室訪問等により、探究活動の深化、精緻化を図る。
そして、台湾大学と連携した大学生との交流に加え、台湾研修旅行での交流・発表を実施し、国際連携や国際平和の在り方について学び考える資質を育成する。
さらに、ユネスコスクール(現在申請中)加盟校との交流を通じて、異なる地域で暮らす同年代の生活習慣や考え方の多様性を肌で感じるプログラムを展開する。
活動レポートReport
伝統的な実質女子校で「未来創造精神」育成へ
1898(明治31)年創設の山形市高等女学校を前身とし、戦後に男女共学の県立山形西高校として再スタートしたが、現在に至るまで男子の入学者はいない。吉村美栄子知事も卒業生だ。親睦友愛と切磋琢磨の心から成る旧制以来の「嚶鳴精神」をスクール・ミッション/ポリシーにも掲げているが、それだけではミッションにもある「国内外で活躍できるグローカルな人材」の育成には不十分。そこで2024年度から、ポリシーに嚶鳴精神と並んで「未来創造精神」を位置付けることにした。
三菱みらい財団の助成申請時に、総合的な探究の時間(1年次全員と2・3年次文型)と理数探究(2・3年次理型)などの総称を「嚶鳴クリエイティブ・ラボ(OCL)」と銘打ったのも、そうした新たなチャレンジの表れだ。
1年次は「山形を知る」として、持続可能な開発目標(SDGs)達成のための地域課題解決を行う。2年次の文型では1年次の継続研究や進路志望に関連したテーマ別課題研究、理型では教科の枠を超えたデータサイエンスやSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)領域に取り組む。
もともと市内にある東北芸術工科大学の教員による「デザイン思考」研修で探究の手法を学んでおり、これに加えて山形大学の出前講義や研究室訪問で研究テーマの深化を図ってきた。院生や学部生にもアドバイスを得ながら、①社会を取り巻く様々な問題について、その論点を整理して自分が社会とどのように関わり貢献していくのか、主体的、協働的な活動を通して考える態度を育てる②自己の進路目標実現に向け、それに関わる基礎的な知識を習得するとともに、自ら課題を発見し課題解決のための手法を身に付けて、自分の考えをまとめ、効果的に発信するための自己表現能力を育成する――ことを目指す。
これまで台湾7大学との交流をオンラインで行ってきたが、新型コロナウイルス禍が明けたため3月26~30日に初の台湾研修旅行を実施。当初は希望者が集まるか心配だったというが、予想の倍を超える61人が参加した。同13日に行われた直前の事前研修で「食が楽しみ」と声をそろえた小板橋杏子さん(1年生)は来年イタリアに短期留学を予定し、三井一花さん(同)も卒業後は米国で音楽を学びたいという。
23年10月には、外務省のプログラムで来日した中国高校生訪日団が来校。ユネスコスクールにも申請している。
渡辺敦司(教育ジャーナリスト)