ProgramFEWC(Frontier Education for World Citizenship)プログラム
FEWC(地球市民を育成するための開拓的教育)プログラムは、本校が元国連大使の明石康氏の提案により群馬県初の英語教育を重視した中高一貫校として発足後、文科省指定のスーパーイングリッシュハイスクール(SELHigh)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の各事業を実践し、県内外の教育界各方面から高い評価を得た実績を基に、新時代における主体的で創造的なグロ-バル人材育成を目標に、令和元年度よりスタートした本校独自の自走教育プログラムである。
助成の対象となる4・5学年のプログラムでは、総合的な探究の時間において生徒全員が自己と世界のつながりを考えながら自由なテーマで課題研究を行う。新時代に創造的な貢献ができるための基礎力を養うイノベーション学習が組み込まれていることと、グローバルな活躍を可能にするための英語使用による研究・発表活動を特徴としている。また、希望者が参加する「明石プロジェクト」と名付けた委員会活動では、上記の目標を達成するためにディベート・模擬国連・イノベーションの3領域で生徒自らが主体的かつ積極的に取り組む意欲をもって、さまざまな活動を行う。
活動レポートReport
イノベーション学習をシンガポールで
元国連事務次長の明石康氏の提案により、群馬県初の英語教育を重視した中等教育学校として平成15年に設立された同校。
地球市民としての日本人「World Citizen」を目指す生徒像とし、自ら率先して考えて動く姿勢を重んじている。
これまで文部科学省のスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受け、主体的で創造的なグローバル人材育成に力を注いできた。その中心を担う探究活動がFEWC(Frontier Education for World Citizenship/フューク)プログラムだ。中等教育学校の強みを生かし、6年間を通して課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現までの探究サイクルを繰り返すのが特徴だ。
前期課程では日本国内を題材にICTや統計資料の活用力を高める。後期課程では世界を視点に課題研究をおこない、全員が英語の論文作成、プレゼンテーションをする。最終学年の6年生は社会課題に対する解決策を短時間で提示する「TED型英語プレゼンテーション」に挑戦する。
新型コロナの収束で海外渡航が可能になった今年度は、新課程のもとでのFEWCが本格化する1年となりそうだ。
その山場とも言えるのが、4・5年生がテーマとしている「イノベーション学習」だ。革新的な発想で価値創造できる力を付け、社会に提案・表現できるようになることがゴールだ。まずイノベーションとは何かを専門書や外部講師による講演で学ぶ。その後、5年生はイノベーションを創出しているシンガポールの企業を訪問。自分たちの考えた提案をプレゼンし、フィードバックをもらう。生徒は自ら現地企業や研究機関などの取材先を開拓し、アポイントをとりつけた。シンガポール大学の学生のアシストも得ながら10月に実施した。
このほか、希望者が参加する委員会活動「明石プロジェクト」においては、ディベート大会や模擬国連、県内のイノベーションアワードへの参加なども活性化している。
FEWC推進部長の泉極教諭は「若い時期にイノベーションを生み出す仕組みを吸収できれば、社会に出たとき力を発揮できる。そうした学びが今、探究に求められているのではないか」と話す。
FEWCを中心とした活動の成果は今年度、地域のホールを借り切り、公開形式で開催する。
長尾康子(教育ジャーナリスト)