カテゴリー 12023年採択

新潟県立柏崎高等学校

対象者数 400名 | 助成額 200万円

http://www.kashiwazaki-h.nein.ed.jp

Program「エネルギー、環境、海」をテーマとした
海外高校との国際共同課題研究

 本校は2012年から大韓民国の科学重点校である新道林高校と姉妹校関係を締結し、研究発表会を中心とした国際交流を続けている。また、本校が立地する新潟県・柏崎地域は、石油のENEOS(株)の発祥地であり、かつては石油産業で栄え、現在も世界最大級の出力数である東京電力柏崎刈羽原子力発電所が立地、さらに、市内には我が国トップクラスの15カ所の海水浴場を擁するなど、「エネルギーと海のまち」である。

 本教育プログラムは、このような柏崎の特性と、本校が培ってきた国際交流活動を結びつけ、「エネルギー・環境・海」をテーマに、姉妹校をはじめとする海外高校と共同で課題研究を実施することにより、「持続可能な開発および社会」の実現のために何ができるかを海外と共同で考えていく。本教育プログラムの実施により、ふるさと・地域に誇りと愛着を持ち、グローバルな視野および科学的思考力を擁し,地域や国の発展に貢献できる人材の育成を目指す。

 本年秋には、世界最大級の水力発電ダム「山峡ダム」を擁し、エネルギー関連で柏崎市と友好関係のある中華人民共和国湖北省宜昌市の夷陵天問学校と新規にオンライン交流を行うなど、新規の海外高校との研究交流も積極的に進めていく予定である。

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韓国の姉妹校交流をサイエンスの共同研究へと発展させる

「エネルギーと海のまち」として知られる新潟県の柏崎地域。同校はグローバルな視野を持ち、主体性の高い科学技術人材の育成を目指す。現在「エネルギー、環境、海」をテーマとした研究を、韓国の高校と共同で行っている。

 ソウル特別市にある新道林(シンドリム)高校とは2012年から姉妹校関係を締結し、相互訪問して国際交流を続けてきた。韓国の科学重点校にも指定されている新道林高校と、SSHを3期継続してきた柏崎高校とは「持続可能な開発を実現する科学技術とは何か」という点で生徒や教員の関心は一致する。これまでは年2回、相互訪問をして研究成果を披露する「研究交流会」を行ってきた。だが、1人1台端末が整備されオンラインでのやりとりが容易になってきたことから、相互訪問に加え「共同研究」の構想が浮かんだ。今後は、日常的に研究の過程をやりとりすることを予定している。

 2023年12月に新道林高校で行われた「学術文化研究発表会」には、柏崎高校からは生徒17人が参加。あるグループは「柏崎のコウモリ」についての研究発表を行った。柏崎市の青海川海岸にある洞窟「福浦猩々洞」には4種類約1万匹のコウモリが生息していること、多種のコウモリが混ざって一緒に生息しているのは珍しく、その理由などを調べた結果を発表した。発表や質疑はすべて英語で行われた。新道林高校の生徒は英語に堪能で、柏崎高校生は、研究内容だけでなくそれを伝えるコミュニケーション力の重要性を実感しながら帰路についたという。

 共同研究は、学校設定科目「柏崎サイエンスプロジェクト(KSP)」を中心に展開する予定だ。1年次は探究に必要なスキルアップを図ったのち探究サイクルを一度経験する。2年次はグループによる探究、3年次は発表、論文作成、ディベートなど研究成果を発信する活動に取り組む。

 韓国に派遣されるのは、校内外での研究発表会や各種コンテストに参加し、高い評価を受けたグループから選ばれるため、生徒のモチベーションも高く維持できる。

 このほか、自治体や、地元の大学・企業など外部機関と連携した「エネルギー、環境、海」に関連する各種講座を実施し地域理解も深めている。担当する吉楽雅典教諭は「グローバルな視野を持ちながら、地域の発展に貢献する主体性の高い科学技術人物の育成を目指したい」と話している。

長尾康子(教育ジャーナリスト)

韓国姉妹校・新道林高校での研究発表。

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