カテゴリー 12023年採択

大阪府立吹田東高等学校

対象者数 312名 | 助成額 61.8万円

https://www2.osaka-c.ed.jp/suitahigashi/

Program吹田東高校「総合的な探究の時間」 
主体的に考え行動する生徒の育成
第2学年プログラム「現代社会をみつめる」

 吹田東高校「総合的な探究の時間」では、1年次に全員発揮型の権限なきリーダーシップ(21世紀型リーダーシップ)※に基づく探究活動を行っている。この学びを経て「グループ内で代わる代わる発揮するリーダーシップ」を身に着けた生徒たちが2年次に取り組むのが本プログラムである。

 ※クーゼスとポズナーの「リーダーシップ・チャレンジ」をもとに高校生・大学生向けに開発されたもの

 企業・NPO・大学等10団体と連携し、各団体が直面する現代社会の諸課題をテーマに、企画立案型の探究課題を進めることにより、社会に出て生きる力を養う。

令和5年度連携団体とテーマ(五十音順)
① 関西大学(特色ある大学づくり)
② ㈱紀伊國屋書店(学校ICT推進)
③ 大日本印刷(株)(EXPO2025プロジェクト)
④ ㈱ターン・アンド・フロンティア(クラウドを使った顧客・営業マーケティング)
⑤ NPO法人月と風と(しょうがいのある方へのヘルパー派遣・場づくり・しごとづくり)
⑥ 豊中市役所(少子化に伴う新たな小中一貫校づくり)
⑦ NPO法人ブレーンヒューマニティ(こども・若者支援・居場所づくり)
⑧ ㈱ベネッセホールディングス(ベネッセアートサイト直島 アートを使った街づくり)
⑨ 立命館大学(特色ある大学づくり)
⑩ ㈱YRK&(企業のブランドコンサルティングやプロモーション)

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活動レポートReport

外部サポートを活用して探究活動の基礎固め

 吹田東高校の探究活動は2022年度から本格的にスタート。1年生の前期は企業や大学と連携しながら「21世紀型リーダーシップ」を学び、後期は「高校生生活を充実させるには」というテーマについてグループで探究活動を行う。2年生では企業や大学、NPOなど10団体に活動内容ややりがいなどを話していただき、生徒が興味・関心のある団体を選んで、各団体が直面する現代社会の課題について1年間探究を行っていく。その中で、職業や仕事、働く大人に興味を持ち、社会に出て生きる力を養うことを目的とする。3年生はモノづくりを通して、「身の回りの誰かの困りごとを解決する」という課題に取り組んでいる。

 同校の取組の特徴は、外部サポートを積極的に取り入れている点にある。活動自体にもさまざまな団体が関わっているが、中には高校生の探究に関わることが初めての団体もあるため、探究のノウハウがある企業にコンサルティングに入ってもらい、教員も含めて事前に研修を行っているという。こうした協力団体やサポート企業は東知佐子校長が探し出して採用しているといい、同校の淵上陸人先生は、「校長の強力なバックアップの下、今の探究活動の体制を築いてきました。当初は外部に協力を得ることに抵抗感を持つ教員も多かったのですが、探究の初心者の自分たちにとって外部サポートが頼りになることが徐々に分かってきましたし、今まで接点がなかったさまざまな団体の業務を知ることで、生徒だけでなく、教員の視野も広がりました」と話す。最初は困惑していた教員も1年たつとスムーズに動くようになり、探究の時間が終わると、職員室で生徒の成長や変化について話し合う雰囲気が生まれてきたという。

 生徒も、最終的に課題解決につながらなくても、立ち止まらずに、課題を見つけようとする姿勢が出てくるなどの変化が見られたと淵上先生は話す。現在3年生の堀田明莉さんは、2年の時の活動を振り返り、「行き詰りそうになっても、この課題に対して次はこうしてみよう、と提案し、前に進もうとする力はついたと思います」と話す。一方、同じく3年生の谷浩徳さんは「企業の方から思いもしなかった視点からのアドバイスがあり、多角的に物事を見る重要性に気づくことができました」と話す。

 本格的に探究活動をスタートさせた1期生となる今の3年生が、この3年間での成長をどのように見せてくれるのか。同校の成果に期待したい。

「吹田東高校のブランド」という課題に取り組んだ堀田さん(右)と谷さん(左)。2019年に新設された「校舎の新しさ」に注目していた2人に、企業の担当者から「校舎はいずれ古くなるが、設計はずっと残る」という意見をもらい、「開放的な設計があるからこそ、コミュニティがつくりやすく、社交的な人が生まれる、それがブランドではないかという視点で探究することができました」と話す。

2年生の中間発表。各団体も発表を聞き、講評やアドバイスを伝えた。

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