カテゴリー 12023年採択

京都府立宮津天橋高等学校

対象者数 610名 | 助成額 200万円

https://www.kyoto-be.ne.jp/miyazutenkyou-hs/mt/

ProgramSafari:探究の海へ漕ぎ出せ! 学舎を越えた協働的な学びへの挑戦
~遠隔合同授業×ICT活用×総探学習 NEW TYPEを創り出せ!~

 京都府北部地域の高等学校において、令和2年度から各高校を学舎として存続させる学舎制を導入した。新たな高校の学舎間をオンラインで接続し、協働的な学びにより生徒同士が多様な考え方や価値観に触れることをねらいとして、令和3年度から単位認定を伴う遠隔合同授業を開講している。 

 本プログラムでは、離れた学舎で学ぶ生徒同士が、「遠隔合同授業」「総合的な探究の時間」部活動等において、対面やオンラインを活用して繋がり協働的に学ぶことにより、相互の異なる考え方を理解し合い、新たな学びを創り出すことを目指している。学舎制導入前の2高校も含めた両学舎においてこれまで取り組んできた学習活動をクロスリンクさせ、生徒同士による協働的な学びを軸に据え相乗的な学習効果を引き出すことを主題としている。 

 両学舎の探究発表会の相互交流、地域資源を活用した学習の推進、ICT活用や遠隔合同授業推進に向けた教員研修の実施、各界専門家からの指導・助言を得て教員・生徒の専門性を高める。年度進行で実施しているBYODともリンクさせ、遠隔合同授業だけではなく各教科との連携により、生徒の個別最適な学習を促すとともに、教員全体の指導力向上に繋げていきたい。 

 ※BYOD…Bring Your Own Device:個人端末の学校持込 

レポートアイコン
活動レポートReport

統合した生徒同士の交流から新しい学びを生み出す

 日本三景の一つ「天橋立」があることで知られる京都府宮津市。多くの観光客が訪れる一方で、人口は減少し続けており、市全域が過疎地域に指定されている。学校にもその影響は波及し、2020年4月に京都府立宮津高校と同市に隣接する与謝野町の京都府立加悦谷高校を統合。各高校の建物は学舎として存置し、約610人の生徒が通っている。統合以降は、一部教科でオンラインによる遠隔合同授業を行ったり、部活動を合同で取り組み、一つのチームとして大会に出場したりするなど、学舎制ならではの取組が進められている。

 探究活動はグループでのゼミ形式をとっており、宮津学舎では自分の個性と地域・社会課題を視野に入れたアカデミックなテーマでの活動、加悦谷学舎では地域連携に注力した活動と、これまでの内容を軸に展開している。しかし、今年度は両学舎の生徒が「廃校になった小学校の活用」というテーマで自発的にコラボを組むなど変化があった。7年間宮津学舎で多々納 智先生と共に探究活動を担当し、今は加悦谷学舎で探究を主導する安見孝政先生は、「期せずして生徒同士の協働的な学びが生まれ、うれしく思います」と話す。両学舎では、生徒同士で多様な考え方や価値観に触れる機会を増やしており、23年10月4日に宮津学舎にて行われた2年生の探究活動の中間発表には、両学舎の1年生の生徒が参加。来年度以降は、両学舎での合同発表を予定しており、「両学舎の交流から新しい学びを生み出したい」と安見先生は話す。

 探究活動をきっかけに自分の将来を見つけるなどの成果が出る中、探究は教員の意識も変えたと安見先生は言う。「これまでは生徒が地元を離れるのは当たり前で『いってらっしゃい』と送り出していましたが、地域と連携し主体的に取り組む生徒を見て、『みんなの地域を大切にしてほしい』と言うようになりました」。実際、卒業生が小学校の先生となり戻ってきたり、10月4日の中間発表では、7年前にフィールド探究部という部活動を立ち上げた初代部長が、探究がいかに大学の学び、そして現在の大手企業での職につながったかという講演をしてくれたりと、地元への愛着を持つ卒業生が増えている感触があるという。

 少子化に伴って学校の統廃合が全国的に進む中、学舎制を選択した同校が、探究をはじめとした学習活動をどうクロスさせ、相乗効果を引き出し、また地域活性化につなげていくのか。その進展が注目される。

中間発表では、近隣学校の先生や地元の方々も参加。発表後には感想や意見だけでなく、「これなら協力できる」といった申し出も。

ビデオアイコン
成果発表動画Presentation

一覧に戻る