カテゴリー 12023年採択

兵庫県立兵庫高等学校

対象者数 640名 | 助成額 200万円

https://dmzcms.hyogo-c.ed.jp/hyogo-hs/NC3/

Program先生が変われば教育が変わる 
-STEAM教育(ワクワク)と真正の学び(実社会との接点)の往還-

 これまでの活動に改良を加え、教員の意識をアップデートすることで、兵庫高校独自のSTEAM教育と真正の学びが往還する特色ある学習体験の場をつくり、世界の最前線で未来を創造する人財を育成する。

 これまでの活動で、概ね生徒たちは社会問題について考え、新たな分野にも挑戦し、豊かな発想をもてるようになってきた。一方、活動を教科学習に関連付けたり、教科横断型の学習を行う機会は少なく、教員側が有機的組織になっていないという課題が上がった。 そこで、全生徒が先進的かつ主体的な学習を進めるとともに、一部の教員だけでなく複数の教員が地域や大学、企業等と社会関係を結ぶことで、教科学習においても探究型学習の手法を用いたり(真正の学び)、これまでの学習指導要領にない新たな学び(STEAM教育)が提供できるよう、以下のプログラムを実施する。

(1)課題解決型探究学習
①論証力向上のためのデータサイエンス
②実社会への働きかけを伴う実践活動
③STEAM ROOMを拠点とする機器の活用

(2)特別研修
①神戸、東京、ベトナムでの世界の最先端を学ぶ研修
②教員、生徒が企画するSTEAM講座

(3)「先生の目の色変えちゃおう」プログラム
①生徒の行動力と教員の専門性を掛け合わせた協同探究の模索
②研修や発表会に参加し、校外での社会関係を構築

レポートアイコン
活動レポートReport

生徒のワクワクを引き出すSTEAM教育の模索

 2020年度に県のSTEAM教育実践モデル校となった際、「まずは本校においてのSTEAM教育を定義することから始まりました」と波部義広先生が話すように、4年前からSTEAM教育に取り組み始めた兵庫県立兵庫高校。「文理融合の知識に基づき、社会を担う創造力の基礎を育成する」「既存の学習指導要綱にない新たな学びを考える」「ICTやIoTの操作技術を高度化させ、それらを活用して新たな価値を生み出す力を育成する」という柱を設定し、1年目は有志教員による意見交換や、生徒向けの最先端技術を持つ神戸の企業・施設のフィールドワークなどを実施。翌年は複数名の教員に推進係となってもらい、授業にSTEAMの要素を取り入れたが、「実践するのは同じ教員になるという課題がありました」(波部先生)。

 そこで強化したのが、生徒主導での普及だ。生徒からSTEAM係を募り、3Dプリンターやドローン、VRなどの機器を設置したSTEAM ROOMを用意して自由に使ってもらった結果、独学で知見を身に付けた係が生徒・教員向けの講座を開いたり、他の生徒の探究活動をサポートするまでになった。VRのスキルで360度映像の学校紹介動画を制作した2年生の石井祐聖さんは「最先端の科学技術に触れられることが魅力的でした」と係に立候補した理由を振り返る。3Dプリンター担当の2年生の大内健太郎さんは「発想力に富んだ仲間に刺激を受け、自分の新たな可能性に気づくことができました」と話す。「質素剛健自重自治」の理念を掲げる同校には校則はなく、校内行事も生徒主体で運営するなど、生徒の自主性を重んじ、また生徒も主体的に考え・動くという校風がある。生徒の自走の下にSTEAMをまず普及させ、その実績をもって先生を変えていく方針は同校に適していたと考えられる。また教員に対しては、教科横断を意識してもらうために、ペアを組んで互いの専門分野を融合した授業プログラムを開発する研修を実施。企画した望月翔平先生は、「戸惑いながらも、数学的な見地から音楽の美しさを見いだす、古典と日本史の横断クイズなどのアウトプットを出してくれました」と話す。

 毎年試行錯誤でSTEAM教育の模索に取り組む同校には、全国から多くの教育関係者が視察に訪れている。「2024年度は生徒自走を加速するとともに、STEAM教育に関わる教員の強化に取り組みたい」と波部先生は話す。

STEAM係が講師となって、夏季STEAM特別講座を実施。

こちらも夏季STEAM特別講座の様子。その他、オープンスクールや学校説明会でも活躍している。

ビデオアイコン
成果発表動画Presentation

一覧に戻る