カテゴリー 12023年採択

長崎県立壱岐商業高等学校

対象者数 88名 | 助成額 100万円

https://www2.news.ed.jp/section/iki-ch/

Program未来の起業家育成プログラム

「将来、会社を経営したい生徒や会社内で経営について建設的な意見を述べることができる生徒を育てる」という教育目標の下、未来の起業家育成プログラムを作っていく。内容としては、3年次の科目「課題研究」で株式会社を設立し、商品開発や販売、出店(マルシェ)を通して、利益を上げ、税金を納めるまでの一連の流れを確立していく。その後は、1・2年生に対しても、起業した会社の中で活動していき、3年間を通して、生徒が「起業したい!」と思えるようなプログラムになるようにしていく。

 本校の合言葉に「Well-Being ~それぞれが主役~」がある。これは、自分も相手も幸せになるようにしていこうという意味である。会社を設立し、壱岐商業高校の生徒も幸せで、人生が豊かになるような教育にしていくが、関わってくださる壱岐市役所をはじめ、まちづくり協議会、壱岐島内の企業の方々、島民の方々全てが幸せで暮らせるようにしていきたいという想いがある。そのために、まずは壱岐商業高校内で生徒が活き活きと活動できる仕組み作りをしていきたいと考える。

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離島で初めての高校生による株式会社設立

 株式会社IKISHOは、2024年1月に株主である壱岐商業高等学校の全生徒の前で2回目の株主総会を開催した。決算報告と今後の取組方針などを報告して終了。IKISHO共同社長の一人である同校3年生の野中奏和さんは、「僕たちは会社設立だけで手一杯だったので、来年度の3年生には売り上げを出して会社を発展させていってほしい」と後輩たちに思いを託した。

 株式会社設立のきっかけは、「課題研究」の講座の一つ「起業体験プロジェクト」を担当する徳永宏輔先生が感じていた課題だった。「地元でマルシェなどのイベントを実施していましたが、単発で終わっており、本当の起業体験をさせるにはどうしたらいいか悩んでいました」と話す。そのことについて壱岐市の町おこし協力隊の方に話したところ、「高校が株式会社を立ち上げている事例がある、訪問してみたらどうか」というアドバイスがあった。そこで、株式会社設立の実績がある福岡県立朝倉東高校と指宿市立指宿商業高校を訪ね、関係者の話を聞き、壱岐の活性化を目的とした株式会社の立ち上げを決意した。設立費用や登記上の住所、取締役の選任など、課題は山積みだったが、「起業体験プロジェクト」の10人の高校生たちと共に奮闘し、三菱みらい育成財団やOBの協力の下、2023年12月に全国で7例目、離島では初めて高校生による株式会社設立を実現した。

 設立までの約8カ月の間に10人の生徒たちは株式会社の名称を校内で募ったり、会社で扱う地元特産を使った商品開発に取り組んできた。開発したお菓子は「商業高校フードグランプリ」の予選を通過、本選のために千葉の会場まで赴き、販売を行った。「最初は自発的に意見を言うことがなかった生徒たちが、実社会に触れる経験を積むうちに、自ら動くように変わってきました」と徳永先生は振り返る。

 2024年度からは、3年生全員が営業部や広報部などの部署に分かれて株式会社IKISHO を運営し、商品の開発・販売、地域活性イベントの開催などに取り組んでいく。実際の会社運営に向けて、1年生は自分の関心事と地域を絡めて問い立てをし、2年生では問いから出た仮説を検証して壱岐を元気にするビジネスアイデアをプレゼンするなどの「準備」の授業を進めていく。株式会社IKISHOが地域の未来を切り拓く会社となるのか。創業者の思いを継いだ次期3年生の経営手腕と、それをサポートする学校の熱意が問われるのはこれからだ。

「商業高校フードグランプリ」では、生徒と地元企業が開発した「イカゆずBeans」を販売。野中さん(一番奥)は、「緊張していましたが、始まったら自然とスイッチが入って、お客さまにPRできました」と話す。

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