Program文理探究科「課題研究」×普通科「地域探究」による
世界と地域の未来を創造する人材育成プログラム
〜『島原高校ワクワク成長サイクル』の実現を目指して〜
Society5.0時代を担う人材を育てるべく、『新たな価値の創造』や『新たな世界や地域の在り方をデザイン』する資質・能力の育成を目指す。
【プログラムの特徴】
多様な価値観や最先端の技術・取組、地域の現状に触れる機会を充実させ、生徒の興味関心を広げる活動を行う中で、世界や地域社会の『常識』や『当たり前』の中から「?」(問い)を見出し、その解決を目指した「探究活動」を行う。これらの取り組みと日々の授業のサイクルを通して、学びに向かって自走する生徒を育成する。
<文理探究科(理数科)>
・留学生との交流や国際協力活動に携わる方々とのワークショップ等の実施(JICAや大学等との連携)
・最先端の取組や技術および文理協働の視点に触れる活動の実施(大学や企業等との連携)
・ICTを効果的に活用しながら自己の考えや課題研究成果を論理的に発表するスキルの養成と実践
<普通科>
・地域課題と地域資源を発見するワークショップやフィールドワークの実施(地域の自治体や企業との連携)
・地域住民、Uターン・Iターン者、地域に暮らす外国人、技能実習生等との交流活動の実施
・校内および校外(市役所や商業施設など)における地域探究成果のポスターセッションや地域への提言の実施
活動レポートReport
動けば課題は見えてくる行動力を育む環境とは
島原高校は、普通科では地域探究を、理数科では物理・化学・生物・地学・数学分野での課題研究に取り組んできた。しかし、学年主任が毎年ゼロから探究プログラムを作っており、学年を超えたつながりや成果の蓄積がない状態だったという。そこで2023年度の文理探究科新設を機に、校内に探究部を立ち上げ、探究活動の体系化に取り組んだ。24年3月には、3科合同の探究発表会を初めて開催。科を超えた活発な質疑が起こり、探究部の松永俊先生は「これまでになく、生徒・教員の探究への熱意の高まりを強く感じました」と話す。
体系化に向け試行錯誤する中で、いくつか発見があった。その一つがテーマ設定だ。22 年度は生徒が関心のあるテーマに取り組んだが、思い付きでやってはみるものの、深みが出ない活動が多かった。そこで23年度では、環境・経済・教育・文化などの探究分野をあらかじめ決めた。「取り組む中で分野を変えてもいいと伝えていたところ、枠をはみ出してどんどん活動する生徒が増えました。与えられたテーマでも、初動は早々に起こせる。その後に行動する中でおのずと課題が見えてくるのだと思います」(松永先生)。
もう一つの発見が、生徒をインスパイアする人材の発掘方法だ。地域のことを語ってもらう講師を市役所から紹介してもらい、その方から他の講師の方へと、次々に紹介してもらうことで「島原には地域の価値を再発見して面白いことをしている人たちがたくさんいることが分かりました」と松永先生。こうした体験を生徒たちにもしてほしいと、2カ月間で必ず三つのフィールドワーク(FW)を行う、最初にFWに行った先で次に行くべき人や団体を教えてもらうという「FW強化月間」を設けた。生徒の行動力の底上げにつながったほか、特徴的な活動をしている人と接点を持った生徒たちの探究は深みが出たという。
課題だった「知の継承」も具現化しつつある。地域固有のメダカの研究を行い、各生物大会で発表してきた2年生の菅道大さんは、「先輩に育ててもらって、ノウハウを受け継いだ僕が今度は1年生に引き継いでもらうため今データの整理中です。同じメダカを扱っていても、視点を変えて、各学年特徴ある研究を行っています」と話す。
松永先生をはじめとする探究部の熱意と工夫が探究活動を急速に進化させている。教員内でこのノウハウをどのように継承していくかが次の課題といえよう。