カテゴリー 12023年採択

沖縄県立与勝高等学校

対象者数 142名 | 助成額 95万円

http://www.yokatsu-h.open.ed.jp/

Programよりよい社会を実現しようとする態度を育成する
「よかたんプロジェクト」

 沖縄県立与勝高等学校の探究「よかたんプロジェクト」は、令和4年度より「よりよい社会を実現しようとする態度を育成する」ことを重点目標に掲げ、探究課題を地域や学校の特色に応じた課題へと焦点化し、その学習方法として地域連携型のPBLを取り入れている。闘牛やエイサーなどの伝統文化や世界遺産である勝連城跡などの観光資源に恵まれた地域性を活かし、地域と連携して課題解決に取り組む教育プログラムである。

「よかたんプロジェクト」の特徴の一つは、生徒の「つながる力」「つなげる力」に着目し、情報の収集の場面等において、地域の人的・物的資源を積極的に活用する点にある。令和4年度の実践例として、地域の海ごみ問題を解決することを探究課題に掲げたグループが地域の小学校でごみ問題に関する授業を実施し、小学生のごみ問題に対する意識を高める取り組みを行った。地域の小学校とのつながりから、地域の未来へとつながる探究活動を行えたのは、大きな成果として捉えている。

 また「よかたんプロジェクト」のもう一つの特徴が令和5年度より実施する北海道平取高校との探究連携授業である。都道府県を越境した「つながり」を構築し、従来の総探の学びをさらなる深化を目指す。

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地域連携型のPBLで生徒の成長を支える土台を構築

 沖縄県内初の公立中高一貫校・沖縄県立与勝高等学校は、2007年の県立与勝緑が丘中学校の開設以来、一貫校の特色を活かした取組を進めてきた。そうした中、探究活動「よかたん」をスタートしたのは2018年。「より良い社会を実現しようとする態度の育成」を目標に開始したものの、生徒の変容につながらないという課題を抱えていた。一方で、高校進学時に他の地域の高校を選択する生徒が増えるなど、学校の魅力化も大きな課題となっていた。

 「生徒自身の興味・関心にプラスして、社会の課題にもっと意識を向けてもらえるよう、2022年から探究課題を地域や学校の特色に応じた課題へと焦点化し、地域連携型のPBLへと形を変えました。この取組を通じて生徒の成長を後押しするとともに、中高一貫校としてのグランドデザインをしっかりと描き、与勝高校に入ってよかったと思ってもらえるようにしたいとの思いで取り組んでいます」と、探究活動を担当する川平さよ子先生。

 2023年度には地域課題を「環境探究」「世界遺産・観光資源の継承」など、七つのプロジェクトとして設定し、教育支援を行う株式会社rokuyouの協力の下、それぞれに社会人メンターを付けた。併せて、地域連携の拡充を図り、生徒たちが活動しやすい環境を整えた。結果、実際に地域とつながり、行動に移す生徒が増えてきた。そのうちの一つ、地域活性化に取り組んだグループは、地元の事業者で構成される団体と連携し、地域イベントの企画運営に参加。高校生の力で大いに盛り上がり、「ぜひ来年も」との声がすでに上がっている。

 また地域を飛び出し、北校との連携授業では、生徒たち6人が同校を訪問。アイヌ・琉球文化との関連が深い土地柄ゆえ、「今後両校で文化にテーマを絞って地域探究することも検討中」(川平先生)など、新たな広がりを見せている。 活動に取り組んだ、具志堅羽海さん、石川陽菜さんは、「地域との連携で、いろいろな考え方があることを改めて知りました」「この活動で学んだ課題を解決する力は、これから生きていくうえで課題にぶつかったとき必ず役立つと思います」と話す。

 2月に実施されたポスターセッションには中学生も出席し、高校生の活動成果を共有した。川平先生は、「堂々と発表する姿に、生徒たちの成長を実感しました。探究活動の土台ができたので、さらに深化させていきます」と力を込める。

ポスターセッションに先立って平取高校との連携活動の報告を聞く生徒たち。当日は北海道教育庁から前野文繁主任と平取高校の長根忠先生も駆けつけ、活動報告後に各ブースでの発表を熱心に聞いた。「多様な文化、多様な生徒との交流は、とても貴重な機会だと思います」と活動の意義を語る。

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