Program高校生Social Change Student養成プログラム
~自分の学びをデザインしつづける力の育成を目指して~
本プログラムは、福祉マインドとソーシャルチェンジマインドを持って、社会的排除を生む構造やメカニズムに着目し、社会システムの変革に向けてソーシャルアクションを起こす人を育てることを目標にする。そのために、福祉・農業・商業・体育などを学ぶ高校生が、福祉的課題に取り組む当事者・ソーシャルワーカー・NPO職員などと協働して、インクルーシブ社会実現に向けたソーシャルアクションプロジェクトを企画し実行する。
システム思考を用いて福祉的課題を氷山モデルから捉えられるようになり、人の心を動かすような手法でストーリーを語り、共感者を増やすことができるようになることを目指す。それを地域住民と共有するシンポジウムの場を設けることで、ソーシャルインクルーシブの種をまくループを生み、インクルーシブ社会を拡張していく力を身に付けさせていく。
活動レポートReport
福祉を通して社会変革を思考
94年度に制度化された総合学科の初年度開設校の中でも、パイオニアの役割を果たしてきた。14~18年度にはSGH指定を受け(現在は「ワールド・ワイド・ラーニング〈WWL〉コンソーシアム構築支援事業」拠点校)、17年に国際バカロレア(IB)認定校となり18年度入学生からIBコース(定員10人)を開設するなど、今も発展を続けている。
総合学科としては生物資源・環境科学、工学システム・情報科学、生活・人間科学、人文社会・コミュニケーションの4系列を設置。生活・人間科学系列で福祉科目を開設しているが、資格取得ができるわけではない。担当の熊倉悠貴教諭はそれを逆手に取り、福祉マインドはもとより「ソーシャルチェンジマインド」を育成し、社会システムの変革に向けてソーシャルアクションを起こす人材を育てることを目指している。
具体的には、①福祉科の「介護福祉基礎」と体育科の「体育を科学する」の連携による同大附属特別支援学校2校とのスポーツ交流②「生活支援技術」で埼玉県坂戸市内の中学校特別支援学級在籍生と農場をフィールドとした交流学習③「福祉からみた生活」での貧困や待機児童問題など地域福祉活動を通した社会資源の創出――などの活動を通して取り組んでいる。
先進的な福祉教育にとどまらず、課題を乗り越えられる汎用的な力の育成を目指す。熊倉教諭は「福祉はSDGsと親和性が高く、目指す方向性は一致しています」と指摘。今後は体育科だけでなく、他の教科・科目とも連携を広げたいと意気込んでいる。
渡辺敦司(教育ジャーナリスト)