カテゴリー 12020年採択

京都府立城南菱創高等学校

対象者数 480名 | 助成額 200万円

http://www.kyoto-be.ne.jp/jonanryoso-hs/

Program菱創プロジェクト

 「菱創プロジェクト」とは、教科・科目と総合的な探究の時間を組み合わせ、生徒たちが取り組みたいマイプロジェクトを提示し、主体的・協働的に取り組むことで、「自分ごと化」させる研究課題である。

 まず、生徒一人ひとりが取り組みたい興味・関心ある分野や密接的な結び付きのある日常の課題をマイプロジェクトとして設定する。そして、実際に地域や社会の諸課題解決に向けて、主体的かつ創造的な活動にチャレンジする。さらに、彼らのさまざまな学びから、深い振り返りを行うことで、自身の進路実現につなげる。

 具体的には学科毎でそれぞれの特性を生かした探究活動へのアプローチで取り組ませる。

〇普通科のキーワードは「多様性」
単位制を活かし、生徒一人ひとりが自分の興味関心や進路希望に応じて、最も適した教科・科目を主体的に選択して学習

〇教養科学科のキーワードは「専門性」
「探究の基礎」を学びながら、個々が興味関心のある「アクションプラン」を立てて実践し、SDGsの内容と関連付ける。2年次では八つのゼミで、興味関心のある専門分野に焦点を当て研究活動にチャレンジ。グローカルな視点に立ち、大学や研究機関との連携授業(最先端科学技術の体験)を通して目的・進路意識を高め、探究心や想像力を培うプログラム

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学校設定教科「グローカル」

  2009年度、宇治市内にあった城南高校と西宇治高校の府立2校を統合した単位制高校。「専門性」をキーワードとした教養科学科(学年2クラス)と、「多様性」をキーワードとした普通科(同4クラス)がある。
  教養科学科では、学校設定教科「グローカル」でグローカル・スタディース・プログラム(GSP)として自然探究、文化探究、文学探究、歴史探究の各科目を開設している。開校以来、力を入れている課題研究(総合的な探究の時間)は「こだわり学」と呼んでいる。

 20年度から銘打っている「菱創プロジェクト」は、教科・科目と総合的な探究の時間を組み合わせ、1年次に生徒たちが取り組みたい「マイプロジェクト」を提示。2年次には教科探究「ゼミ活動」として、主体的・協働的に取り組むことで研究を「自分ごと化」させ、さまざまな学びから進路実現につなげようというもの。

 1年生は1学期、新型コロナウイルス感染症の拡大で臨時休校を余儀なくされながらも、リモート授業で「説得力」や情報収集の仕方を学び、身近な地域の課題についてテーマを設定。2学期には大学教員による「SDGs(持続可能な開発目標)教室」を開き、講義やワークショップを通して、持続可能な社会に向けた課題解決の方法を探り、新たな提言やアクションを考えさせる。3学期はポスターセッションを行い、1年次を振り返らせるとともに、2年次の探究活動につなげた。

 探究活動の祭典「全国高校生マイプロジェクトアワード」(実行委員会主催)の地域サミット(関西)にも生徒を積極的に参加させており、他校生との交流や「高校生による気候変動学習プログラム」(主催:京都環境文化学術フォーラム)への参加による山際寿一・前京都大学総長の講演などから、刺激や発信への意欲を得ていたという。

 2年次は、八つのゼミ(国語、数学、社会、物理、化学、生物、地学、英語)に分かれ、1学期に基本的な知識を学びながらテーマを設定し、2学期の探究につなげる。
 財団の助成も活用して、20年度から学習支援の場として「ラーニングコモンズ」を整備。過去のゼミ発表資料も展示している。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

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