Program SONOBE Global Research Program
SONOBE Global Research Program は、「京都国際科」と「普通科中高一貫コース」で培われたノウハウを統合し、全校生徒に対して行う探究型学習。1年生で探究の手法を学ぶとともに、地域社会に対する興味関心を喚起する。2年生では研修旅行を核とした「School Tour Program」と生徒自らの生活基盤である地域を見直す「Area Studies Program」を行う。研修旅行先である海外の事例をリサーチし、そこで学んだ手法によって地域を研究し、その成果を地域に発信していく。
活動レポートReport
地域の生徒を地域課題で育てる
JR京都駅から園部駅まで快速で40分足らずの南丹市園部町は、田園地帯、山村部、ベッドタウンなど、さまざまな特徴を持つ。生徒が通ってくる亀岡市や京丹波町も含め、地域は高齢化や過疎化、人口減少など多様な課題を抱えている。園部城址にあり、創立130年を超える園部高校は、そんな地域の多様な生徒を地域で育てる学校でもある。
06年度に附属中学校を併設。普通科3クラス、京都国際科(98~06年度は京都国際・福祉科)1クラス、中高一貫コース1クラスの5学級編成だったが、20年度からは全クラスを普通科とし、中高一貫コースの他、グローバルな視点を養いながら大学進学を目指す「グローバルアカデミック(GA)コース」1クラス、国際的な感覚を養いつつ多様な進路選択ができる「グローバルシチズン(GC)コース」3クラスの編成とした。
中高一貫コースでは「『学び』と『未来』」(中1~中3)や理数分野の「クリエーション」(中1~高2)で探究活動を経験する。それに対して、GAとGCの両コースでは、入学時点での進度にも差がある。
そこで始めたのが、総合的な探究の時間「Global Thinking」。1年生で「探究基礎力育成」、2年生で「探究の実践」を行い、2年間の活動を通して3年生での「自分らしさの探究」につなげるという位置付けだ。
1年生では、中高一貫コースも含めた共通の取組として「Area Study」を設定した。京都産業大学との連携による取組で、世界を三つのエリア(欧州圏、アジア圏、英語圏)に分類し、国際社会への理解と、それぞれの国が持つ課題を学ぶ。
2年生の前半は台湾研修旅行を「School Tour Program」と位置付け、現地の高校・大学生との交流やフィールドワークを通して、日台関係や台湾の抱える問題、台湾から学ぶべきことなどを研究し、帰国後に成果としてまとめる。
これと並行して、「Area Study Program」も実施する。生徒が生活する地域の自治体などから助言をもらいながら、地域の課題を発見・考察し、解決方法を探究する研究を通して、地域に関心のなかった生徒に気付きを与えるのが狙い。
しかし新型コロナウイルス感染症の拡大で、当初予定していた計画内容を一部変更し、大学との連携・研修旅行を実施している。今後は新教育課程の全面実施も視野に、さらに計画を充実させていきたい考えだ。
渡辺敦司(教育ジャーナリスト)