カテゴリー 12020年採択

京都府立丹後緑風高等学校 久美浜学舎

対象者数 100名 | 助成額 100万円

http://www.kyoto-be.ne.jp/tangoryokufuu-hs/cms/

Program「丹後知新」~“今”、紡ぐみらい~

 本校は、本年度から学科改編により、農業科系専門学科のアグリサイエンス科と普通科系専門学科のみらいクリエイト科の二つの学科で新しいスタートを切った。両学科ともに、地域との連携により、3年間を通じて段階的に教育を行うプログラム「丹後知新 〜“今”、紡ぐみらい〜」を開発した。

 その中心の一つである科目に学校設定科目「ライフスキル」がある。地域の方々の協力を得て、仲間づくり・課題解決力・ サバイバルスキル・福祉マインドなどの社会人基礎力を身に付けるための実践的な学びを展開する。中でも、コミュニケーション能力の育成においては、講師に劇作家の平田オリザ氏を招いて、演劇手法を用いたワークショップを行い、これからの社会で生きていく上で必要な力を育む。「ライフスキル」で身に付けた社会人基礎力を土台として、2年次以降の課題研究やみらい探究において、さらに地域連携を深めながら、探究活動を行う。

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2学科のベースに「ライフスキル」

  久美浜高校は、1902(明治35)年創設の熊野郡立農林学校以来の伝統がある。98年度、総合学科に改編。地域創生推進校として「結ぶ」(地域と人を結ぶ=地域創生、夢と人を結ぶ=キャリア教育)をテーマとしてきた。20年度入学生から丹後半島の京丹後市にある網野高校と統合し学舎制を敷くが、新学舎でもこうした教育を継続・発展。「地域に学ぶ、地域から学ぶ」を念頭に、教育活動を実施している。
 久美浜学舎には、地域の基幹産業である農業の担い手を育成するアグリサイエンス科と、探究を主軸に「脱普通科」を目指した普通科系専門学科「みらいクリエイト科」(それぞれ学年1クラス)を置いている(網野学舎は普通科と企画経営科)。いずれも▽豊かな人間性と社会人基礎力を身に付け、自ら学ぶ生徒▽丹後を愛し、丹後地域の発展に貢献しようとする生徒――を育成するのが、学びのプログラム「丹後知新」の狙いだ。

 二つの学科を貫くベース科目と位置付ける科目が、「ライフスキル」(1年次1単位)。課題解決能力、サバイバルスキル、コミュニケーションスキル、福祉マインド、ファシリテーションスキルの育成を通して、社会人基礎力を育てようとしている。防災(サバイバル)・福祉と家庭基礎の防災食など、内容と近い単元・授業内容が他教科・科目にある時は可能な限り連動させるようにしている。
 みらいクリエイト科では、総合的な探究の時間を「みらい探究」Ⅰ~Ⅲ(各学年2単位)を、国語、数学、英語の3教科で探究科目9科目(現代文探究・古典探究、数学探究α・β・γ、英語探究α・β)を設定している。

 みらい探究は、1年次に探究基礎として先行研究も参照しながら「型」を学ぶ。2年次はグループで、地域課題を探究。3年次は個人で論文作成に取り組む。当初は学術的な論文を想定していたが、取り組むうちに、地域課題の代替案を出すような「原点回帰」(横嶋裕子・久美浜高校長)を図ることにしたという。

 16年に文部科学省の「子供の読書活動優秀実践校」大臣表彰を受けた学校図書館の活用はもちろん、隣接する兵庫県豊岡市に今春開学した芸術文化観光専門職大学の平田オリザ学長(劇作家)と連携して演劇手法によるワークショップも強化したい考えだ。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

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