カテゴリー 12020年採択

大阪府立岸和田高等学校

対象者数 640名 | 助成額 200万円

https://www.osaka-c.ed.jp/kishiwada/

Program知の三現改革プログラム

 「知の三現改革プログラム」とは、本校における一連の探究学習を軸として、

1.思考力を養う「現場」

2.探究力を育む「現物」

3.発信力を培う「現実」

 以上1〜3の「三現」が原動力(燃料)となり、未来を担う生徒たちが自らのエンジンを駆動させ、本校から地域や日本・世界へと挑戦できるよう改革するプログラムである。

 世の中のイノベーション(新たな知による革新)が多様な知(情報)の集積から生じることに鑑み、生徒・教員および地域との連携により新たな知を創造する環境整備をさらに発展させる。

 

 具体的には

〇「現場」での考察→多様な知を蓄える
 1.外部講師による講演  2.見学ツアー  3.体験ツアー

〇「現物」での深化→新たな知を起こす(以下データベースを活用)
 4.ジャパンナレッジschool  5.小学館コーパスネットワーク  6.ヨミダス歴史館

〇「現物」への伝播→知を社会に活かす(以下コンテストに参加) 
 7.高校生国際シンポジウム  8.探究甲子園  9.和歌山県データ利活用コンペティション

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活動レポートReport

温故知新で現物や現実も重視

  2011年度からSSHと府教委のグローバル・リーダーズ・ハイスクール(GLHS、文理学科設置校)に指定されている岸和田高校は1897(明治30)年の創立で、江戸時代の和漢書や郷土資料、古い実験器具などが多数保存されている。中には踏絵やエレキテル、『解体新書』初版本など、教科書にも出てくる貴重な資料を実物で見ることができる。
 そうした環境を踏まえ、SSHの第1期から「科学の温故知新」を打ち出し、第2期からは発展型「温故知新」プログラムとして「未来を拓く科学技術人材」(①科学を支える思考力②未知に対する探究力③自己を伝える発信力)の育成を目標に据えた。
 そんな3能力を成長させる環境づくりとして、「三現改革」と銘打ったプログラムを打ち出した。生徒が①思考力を養う「現場」②探究力を育む「現物」③発信力を培う「現実」――を原動力に、地域や日本、世界へと挑戦できるようにすることを目指している。

 第1学年では学校設定科目「セレンディピティ」(思わぬ発見をする才能・幸運)で、前期は「探究基礎」として多様な興味を広げながら研究の基礎知識や研究倫理などを学び、後期は「探究導入」としてゼミに分かれ、次年度に取り組むテーマを設定。第2学年の同「文理課題研究」で教科を主にした理系7分野、文系3分野のゼミに分属し、1年間かけて研究活動を行う。第3学年の同「キャリアスタートゼミ」で論文を作成し、発信力や論理的思考力を育成する。

 「生徒が最後まで探究心と向上心を持ち続けることが一番大事。『岸高に入ったからには』という気持ちを大切にしたいですね」と、中山玲代校長は話す。担当の田坂太一首席も「発表会の様子を見ていると、どの生徒も目が輝いています」と手ごたえを感じている。生徒の成長を見て、教科の授業力も向上するなどの好影響がみられるという。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

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