カテゴリー 12021年採択

埼玉県立浦和第一女子高等学校

対象者数 1078名 | 助成額 200万円

https://urawaichijo-h.spec.ed.jp/ichijo/

Program未来のための「女性学」探究プロジェクト
~To the next stage of our project based learning~

 本校では過去5年間SGH指定校として未来のための「女性学」探究プロジェクトを行ってきた。

「グローバル・リーダー」の育成を目指すもので、その中心となる活動が全員で参加する探究活動である。

一女の探究活動

1年生:「総合的な探究の時間」において、①女性チェンジメーカーを探す「モデル研究」、②社会的な課題研究をテーマとした「SG探究の時間Ⅰ」に取り組む。SDGsのテーマから課題を見つけリサーチクエスチョンを設定し、調査・探究、検証、課題解決への提案をまとめていく。2月には全校の成果発表会を開催し、1・2年生全員がプレゼンテーションに参加する。

2年生:「SG探究の時間Ⅱ」に取り組む。SDGsの目標から約20講座を設定し、さらに講座の中で関心を共有する数人でグループをつくり、1年間じっくりと探究活動を深める。昨年度の成果発表会では約130のグループがプレゼンテーションを行った。

 

その他の活動

・アジアフィールドワーク:ベトナムでのフィールドワーク

・クロスカルチャルトーク:東京外国語大学の留学生(10カ国以上)との英語によるディベート、プレゼンテーション

・全校講演会:講師 2020年度 安田菜津紀氏、2019年度 上野千鶴子氏 

・外部での成果発表:全国高校生フォーラム、探究甲子園、高校生国際シンポジウム、千葉大・東京学芸大・JICA等でのプレゼンテーション

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活動レポートReport

SDGsの課題を学び ロールモデルに触れる

  浦和第一女子高校は1900(明治33)年創設の私立埼玉女学校を前身とする伝統校。2004年度から継続しているSSHに加え、16~20年度はスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定も受け、全教科を挙げた取組や外部機関・海外との交流などにより、全生徒を対象としたグローバルリーダー育成のための研究開発を行ってきた。SGH終了後は総合的な探究の時間のプログラムとして、スムーズな移行ができた。
 今や公立の女子高は少なくなりつつあるが、そうした中でも独自の存在感を示し続けてきた。ただし生徒にモデルとなる女性は誰かと投げ掛けても、歴史上の人物ばかりが挙がる。

 そこで、実際に社会で活躍している女性に着目させ、イメージを持たせようと考えたという。今どきの生徒はスマートフォン(スマホ)で調べるのが得意で、インターネットを検索すれば活躍中の女性は容易に探せるのも利点だ。
 まず1年生(SG探究)前期の「モデル研究」では、国際的に社会的課題の解決に取り組む女性チェンジメーカを対象として、自らのロールモデルとしての人物の生き方や、社会課題に対する問い、解決に向けた挑戦などを調べ、グーグルクラスルームなどを使ってまとめる。後期は探究学習の「入門」として、女性に限らず持続可能な開発目標(SDGs)の課題を見つけ、調べ学習にとどめず解決方法まで示すことを通して、探究の型を身に付けさせる。
 取り上げたテーマ(カッコ内はモデル研究)は▽トランスジェンダーの学生は男女別学校に通えないのか?(ノーベル平和賞受賞の人権活動家マララ・ユスフザイさん)▽水素社会は実現可能か(環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん)▽ニジェールの児童婚問題(中満泉・国連事務次長)▽日本の女子大生の未来~東大「2割の壁」から考える~(上野千鶴子・東京大学名誉教授)――など幅広い。

 2年次が本格的な「SSH×SGH×SDGsによる探究」。SDGsの17のゴールをベースとした「貧困」「働き甲斐と経済成長」「グローバルパートナーシップ」「コロナウイルス感染症と世界」など21のグローバル課題ごとにグループを設定し、フィールドワークやインタビューなどの調査活動を行う。3年次には各自が2年間行ってきた探究活動を振り返り、論文としてまとめる活動を行った。

※職名は、いずれも取材時(2022年3月)のもの。

渡辺敦司(教育ジャーナリスト)

コロナ禍によるアジアフィールドワークの代替プログラムとして、1~3月に講演会「これからの生き方を学ぶ」を実施。企業のSDGsの取組も実感できたという。

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