Program豊高型課題研究、“響学”プログラム
~「ホンモノ」にふれ、「ココロ」を響かせ、真に学ぶ~
本校のプログラムは、1・2年次の課題研究を通じて、「学び続けようとする意欲」「協働力」「論理的思考力」「ディスカッション力」の獲得、涵養を目指している。以下の三つのプロジェクトで構成される。
1.生徒たちの心を響かせる課題研究 〜「ホンモノ」とのコラボレーション〜
1年次では、専門家を招聘し、グローバル課題に対する理解を深め、2年次では、専門家を訪ねるフィールドワークを通じて、研究を自分事として捉え、自律的に研究を深化させる。1・2年次で探究プロセスを2巡し、探究の考え方・手法を習得する。
2.グローバルに人の心を響かせるディスカッション力の向上
1年次では、留学生を交えて発表会を行う。2年次では、研究タイトルおよびサマリーを英語でまとめ、発表する。海外研修を行い、課題研究の発表の場として、現地高校生と議論する機会を持つ。
3.教員も学び、生徒と共に心を響かせる教育活動〜教員もフィールドワーク〜
「大学教員を招聘して学ぶ」「教員自身が実際に学会へ参加する」「先進的な取り組みを行っている学校を視察する」ことを通じ、教員も自らを高め、探究する姿を生徒に示すとともに、意欲・関心を引き出す課題研究の指導スキルを研究する。
活動レポートReport
生徒と教員がともに学び ともに心を響かせる活動
豊中高校の課題研究において、三菱みらい育成財団の助成対象となっているのは、全1年生と文科の2年生。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定も受けている。いずれのプログラムにも共通するキーワード「ホンモノにふれる」が何を意味するかについて、課題研究担当の矢野啓太先生はこう語る。
「芸術的価値のある作品を鑑賞することなどもそうですが、例えば生徒が本気で探究活動に取り組むことで、相手の大人も本気で応えてくれて、その活動の中でほんの少しでも社会が動いたという実感が得られたとしたら、それもまた『ホンモノの社会にふれる』ことなのだと思います」
1年次では週1時間、3~5人の各チームが、SDGsに関わるアクションプランを策定。書籍・論文などの文献調査や専門家の講演などにより、調べ学習やディスカッションの基礎を学び、1月には近隣大学の留学生とポスターセッションを行う。
2年次はコマが週2時間に増え、内容も一転してフィールドワークが中心となる。国際関係、異文化理解、人間科学、地域創生の4分野からテーマを見つけ、夏休みを利用して大学、行政機関、企業、NPO法人などを訪問してインタビューをする。そして、2月の「豊高プレゼン」と呼ばれる校内発表会(1年生も参加)や3月の海外研修と同時進行で、研究内容を論文にまとめていく。2年の間に、手法を変えて探究プロセスを2巡する「ダブルループ学習」で、より深い理解が得られるようにするのが、豊高式課題研究の特長だ。
3年次にも週1時間が割り当てられ、2年でまとめた論文をさらにブラッシュアップして、論理的思考の強化を図る。また、6月には2年生の研究発表を聞いてアドバイスをする「異学年交流会」も行われる。
2年次のフィールドワークはインタビューが中心となるが、中には自らが動く活動に発展することもある。昨年、服飾関連の研究を進めていたグループが、衣服が環境に及ぼす影響の重要性に気付いて方針を変更。衣服のリサイクルを促す啓発活動のために、豊中市の環境交流センターにて、市民に向けた展示と意識調査も行った。
同校におけるもう一つの特長は、「教員も学ぶ」という点。校外の研修やワークショップ、他校の視察などに出かけ、指導スキルの習得にそれぞれが励んでいる。教員自らが探究する姿を示すことで、生徒たちのやる気を促すという狙いもある。