Program「SUKI」を極めるプロジェクト
SUKIPRO~あなたの「SUKI」が世界を変える
1年次に自分の「好き(SUKI)な物・こと」という非常に個人的で自己完結しがちな趣味・関心ごとに対して視野を広げ、社会貢献や実践につなげるためのプロジェクトを考え立ち上げる。
本物「PRO」の話を聞き実際に交流することで、それまでは表面的な知識・理解でしかなかった「好きなもの」に対し、本気で取り組み学ぶ楽しさを知る。同時に講演会や映画会などで視野を広げ、さらにフィールドワークとして実地検証をしたり、その道のプロフェッショナルに実際に会いに行き話を聞かせてもらったりする中で、自分の好きなものが社会の役に立つかもしれないことに気づく。
2年次には『自分の「SUKI」なものから考えたプロジェクトと世界の未来とのかかわり方を考える』ことにより、SDGsをマッチングさせながら、海外の視点から捉えなおす。自分の「SUKI」がいかに世界にとって意味があり、それを持続することが必要かを自ら気づき、自身の考え方に誇りと自信を持つ。各自のプロジェクトを、2年次のスタディツアーにて台湾の高校生とも共有し、世界的な取り組みに発展させるとともに、総括としてプレゼンテーションやポスター発表を行い、友達のプロジェクトに賛同し参加するなどでグループ化しプロジェクトそのものが成長し成熟していくことを期待する。
活動レポートReport
「好き」を起点に 楽しく自由な探究活動に
住吉高等学校が1・2年次に実施する探究活動「SUKIPRO」は、その名の通り、生徒たちの「好きな物・こと」からSDGsなどの社会問題との関わりを探っていくプログラム。出てきたテーマは、食・ファッション・メイクが大半、中にはゲームやアニメなどもあったが、「それでもよい」と阪本由加先生は話す。「SDGsありきのテーマにすると、先生への『うけ』がいいものを考えてしまう。その探究をしても楽しくはないでしょう。生徒が好きなことを起点に視野を広げていけば、楽しさ・本気度・当事者意識が違ってくるはずです」。
1年次は、ワークシートを使いながら、好きなこと→調べたいこと→フィールドワーク(FW)の希望先→誰と話したか→調査で明らかになった・疑問に思ったことを、記入しながら探究を進めていく。FWに関し、学校側が用意したのは「緊張感をもってFW先に行くように」と一人10枚の名刺だけで、アポ取りなどは生徒たちに任せた。「施設によっては学校に問い合わせがあったり、また遅くまで実験してなかなか帰ってこない生徒や山奥まで行って泥だらけで帰ってくる生徒もいたり、やきもきもしました。しかし学校のお膳立てなしで自主的に行動するいい社会勉強になったはずです」(阪本先生)。「SUKI」から派生したプロジェクトは、「チョコレートから森林破壊を考える」「ゴブラン織りから歴史を学ぶ」「競馬から社会を考える」「日本の家庭薬は世界でも使われているか」等、ユニークな視点が多い。12~1月にかけポスター発表を実施し、生徒の投票により、校外の発表会に出場する生徒が選ばれた。
そして1年次の終わりにはプロジェクト一覧を公表。クラスや科を超えて関心のあるプロジェクトで10人までのグループをつくる、または希望者は個人で進めるようにし、教員や阪大の学生計10人が70グループを分担して受け持つゼミ形式の体制にして、22年度2年次の探究活動はスタートした。自分たちの「SUKI」が海外でどのように認識されているかという「海外からの視点」、またプロジェクトを実現するために必要な資金や広報活動を探る「起業視点」を軸に進めていく予定だというが、阪本先生は「昨年度と同じくやってみないと分からないが、やれることはどんどん取り込みたい」と話す。テーマ設定・枠組みも「こうあるべき」ではなく、トライ&エラーで、住吉高校としての探究活動を形づくっていく。そんな意気込みが感じられる。