ProgramSDGsを軸に、授業に地域と連携した体験活動を取り入れ、
3年間での生徒育成を考えた学校改革プロジェクト
本校は「進学タイプ」の総合学科と文理科(専門学科)という二つの学科を持つ全国にまれな特色ある高校である。「自主・自律・友愛」を校訓に掲げ、生徒の主体性を引き出す仕組みづくりを行っている。学習面では少人数授業を実施し、個々に応じた丁寧な対応をしている。
また、単位制で年間複数回の授業選択を考える機会を設けることで、常に自分の進路と真剣に向き合う仕組みができている。
総合学科では国際・福祉・流通の3系列があり、専門教科と普通教科が同時に学べる。「国際感覚を身に付けた地域のリーダー育成」を目標に掲げ、さまざまな体験を通して主体的な学習を引き出す3年間の生徒育成プランを実践している。「総合的な探究の時間」やその他の学校活動にSDGsを取り入れ、三木町・地域の中小企業・小中高大および他団体と連携し、地域理解を深めて、自分の将来を見通した主体的な取り組みができる生徒の育成を図っている。
文理科では令和4年度の新課程に合わせて「総合的な探究の時間」を各学年次生に対して1単位ずつ設定し、将来、世界を視野に入れて活躍できる生徒の育成を目標に掲げて、学問の内容を深く探究する取り組みを中心に3年間の継続的な生徒の育成計画を作成中である。
活動レポートReport
進路意識を高めることで 自分の強みを見つけ出す
2019年、三木高校の総合学科主任となった廣林研史先生が、1年生の授業「産業社会と人間」で取り組むインターンシップの相談のため、香川県中小企業家同友会を訪れた。その時紹介されたのが、企業を訪問して社員へインタビューし、「働くこと」の意味について考える、共育型インターシップ(呼称インタビューシップ)だった。「多くの生徒が進学する本校の生徒には職場体験よりも向いているのではと思い、ご協力いただくことに。生徒1人に1企業付けてもらえないかと無理を申しましたが、計50社とつなげていただきました。本校は人見知りの生徒が多いため、先生を相手に質問の練習をするなど、当初は不安もありましたが、インタビュー後に関係者をお呼びして発表したところ、堂々としており、その成長ぶりに驚きました」と話す。
2年生では三木町の課題をグループ探究、3年生は個人探究で論文を作成。その他、過疎地域の活性化、ボランティアや町の広報誌のレポーターなどの校外体験活動、外部講師による授業なども展開し、インタビューシップの第1期生が卒業する3年目になると、生徒に変化が出てきた。「教育施設で体験活動がしたい、この企業を訪問したい、といった声が自発的に出てくるようになりました。また上級生が自身の経験を踏まえて下級生に指導するいい流れもできています」と廣林先生。塩田浩之校長は、「インタビューシップなどの活動を通して、進路意識が高まるとともに、内向的な殻を突き破って自分の強みを認識して自信につなげた結果、自分の希望進路を実現できるようになりました」と話す。
開校2年目の1997年から教員として同校に在籍している塩田校長は、校訓「自主」「自律」を再度学校に根付かせるべく、廣林先生をはじめ校内の先生の協力を得てインタビューシップをはじめ、さまざまな取組に挑戦してきた。今後は、その手応えを踏まえ、OB・OGを巻き込んだ人材バンクのようなネットワークづくりに取り組みたいと話す。「卒業生の子どもたちが本校の生徒になるケースも増えてきています。探究活動を通じてつながりができた三木町、香川県中小企業家同友会、企業、教育機関に、OB・OGや保護者も加わってもらい、三木高校を中心としたネットワークができれば、生徒のキャリア教育や地域活性化に大きな期待ができます。その枠組みをつくって次の世代の先生方にバトンタッチできればと思います」。