カテゴリー 12021年採択

愛媛県立南宇和高等学校

対象者数 280名 | 助成額 180.8万円

https://minamiuwa-h.esnet.ed.jp/

Program愛南未来づくりプロジェクト
~地域による、地域のための、地域の学校を目指して~

 少子化の加速する愛南町唯一の高等学校である本校は、文武に優秀な人材が町外の高校等へ進学するなど、学校全体の活力が失われつつある。本プログラムは、週に1時間行っている総合的な探究の時間を活用し、地域の関係機関と協働し地域課題研究を実践することで、地域に対する課題意識や貢献意識を高め、地域の未来を支える次世代リーダーの育成を図ることや、学校の魅力化を加速させることを目的としたものである。 

 具体的には、地域の基幹産業である「農林業」「水産業」「文化・商工観光業」、また南海トラフ地震などの災害に対する「防災対策・まちづくり」、「地域医療・教育・福祉」の5分野に分かれて探究活動を行う。

 この五つの分野には、それぞれ2人程度の運営指導委員を配置し、専門的な立場からの助言や指導を受ける。運営指導委員は、愛南町役場職員や愛媛県水産研究センター職員、愛媛大学研究員など、それぞれの分野で専門家として研究活動をされている方たちである。

 さらに、コンソーシアム体制を取り、研究の中間報告や最終発表の評価や指導をしていただく。コンソーシアムのメンバーは、愛南町のさまざまな分野で活躍されている方々で、広い視点からの評価を期待している。

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活動レポートReport

愛南町をフィールドワークに次世代リーダーの育成

 南宇和高等学校は愛南町唯一の高校で、愛南町に住む子どもたちの大半が通う。これは現在の生徒に限ったことではない。何代にもわたって、多くの愛南町民から“母校”として慕われ、見守られ続けてきた学校と言える。その「愛南町の母校」が少子化に加え、交通網の整備などによって町外校への進学がしやすくなったことなどもあって生徒数が減少。近年、学校全体の活力喪失が問題視されるようになった。

 「学校の魅力化」を目指すプロジェクトを立ち上げるに当たり、テーマとして選んだのが、「愛南町の魅力化」である。当校の卒業生の進路先としては、そのほとんどが町外への進学・就職で、その後、愛南町へ戻ってくる生徒も少なくなっている。町に戻る生徒、また戻らないとしても町に関わる生徒を少しでも増やしたいという思いから、愛南町をフィールドワークの場とした活動が2021年度から始まった。
 活動のテーマは5分野。そのうちの三つは「農業」「水産業」「文化・商工観光業」という地域の基幹産業関連で、その他は「防災対策・まちづくり」「地域医療・教育・福祉」という、南海トラフ地震を意識した災害に対する2分野。それぞれ、さらに細かいグループに分かれて探究活動を行っている。生徒たち単独の活動にとどまらず、愛南町役場をはじめ、愛媛大学や愛媛県水産研究センターの職員・研究員、愛南消防署員などの方々が運営指導員として、教員にはできない専門的な指導を行い、「チーム愛南町」としての活動を進めているのが特徴だ。
 これらの活動の下地となっているのが、当校の大きな特徴である農業科の活動で、学校が所有する畑や果樹園での実習の中で、愛南町の名産柑橘「愛南ゴールド」をはじめとする農産物の栽培を、以前から愛南町と協力しながら行っていた。また、地域振興研究部という約20名の部活動は、地域活性化に向けた地域の食材研究、商工観光研究、ボランティアなどの活動をしており、こうした活動を全校生徒で行えるようにプログラム化したのが当プロジェクトとも言える。

 活動の大きな目的は次世代リーダーの育成。高校性が考えたアイデアが町に採用され、町に戻ってきた卒業生たちが、そのアイデアを実際に形あるものにつくり替えて、一緒に魅力ある愛南町を生み出す。そんな日が来る日を望んでいると石崎一水校長は語った。

 

水産分野の研究班が愛南町内の水産研究施設で解剖実験の指導を受けている。

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