カテゴリー 12021年採択

熊本県立水俣高等学校

対象者数 395名 | 助成額 200万円

https://sh.higo.ed.jp/mina/

Program水俣と世界を「いのち」でつなぐ みなまたMOYAIST(モヤイスト)の養成
〜「発信」から「つなぐ」へ〜

 「もやい(舫)」とは元来「船と船をつなぎ合わせる」の意で、水俣市は公害による地域分断から「もやいなおし」を合言葉に地域再生を進めてきた。本校でも、持続可能な社会の中、国際社会で指導力を発揮できる人材育成に努めてきた。 

 今後は、SGHで構築した探究メソッド学習※を土台に、グローバルな視点を備えた地域創生リーダー育成のため、自らのテーマに沿って探究を深め、水俣のまちを、そして水俣と世界をつなぐ役割(『みなまたMOYAIST』)を担っていく。

 さらに以下の各種プログラムを通じ、他者との協同により問題解決を目指す。

「みなまた山川と海をつなぐアクションプログラム」
・Wood Connect Project:森林組合・建具組合と連携し、森林保全へ向けた域内循環過程の確立(植林→間伐→間伐材製品作成→販売) 
・Oyster Project:漁協・国立水俣病総合研究センターと連携し、河口でのカキ養殖実験と、「水俣カキ」のブランド化)

「みなまた学校、まち、世界をつなぐアクションプログラム」
・Interschool Collaboration Project:慶應義塾大学等の国内外の教育機関との協働で課題解決を目指す。
・Spread Overseas Project:日越大学交流や水俣条約締約国会議での発表等を通じて、国内外に各種ネットワークを構築する。

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活動レポートReport

地域創生リーダーを育成 公害の町から環境首都へ

 65年以上にわたり、多くの人々の命と生活が犠牲となり、差別や偏見、地域の分断などで苦しんできた水俣市。水俣病を教訓として行政と市民が一体となった「環境モデル都市づくり」に取り組み、日本唯一の「環境首都」の称号も得た。

 2012年の再編・統合により、水俣市内で唯一の高校となった水俣高校では、16年に文部科学省よりスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受け、「持続可能な社会の実現を目指し、国際社会でリーダーシップを発揮する人材育成」を期した教育活動を続けてきた。そして21年度からはSDGsをベースに、より環境学習を採り入れ、グローバルな視点を備えた地域創生リーダー=MOYAIST(モヤイスト)を育成して地域課題を解決。さらに、学校・町・世界をつないで情報を発信する、環境首都にふさわしい活動に進化している。

 普通科課程においては、3年間を過去・現在・未来に分け、1年次には、ベーシックプログラムとして知識の習得とシンキングツールの活用や体験活動を。2年次には、グローカルな視点に立ったアクションプログラムとして、それぞれが決めたテーマ学習やベトナムの日越大学、慶応義塾大学との協働事業、国際会議の場での発表を行っている。3年次には、将来をみすえた視点からのプログラムとして、レポート作成や自らの進路活動に資する学習を行っている。商業科・機械科・電気建築システム科は、学科の特徴を生かした課題研究が実施されている。

 SGH時代から続けられているプログラムも多く、「Oyster Project(普通科2年)」は水俣市漁業協同組合、国立水俣病総合研究センターとの連携による、水俣川河口での牡蠣の養殖実験。ブランド化を目指し、地域の活性化に結び付けたいと考えている。建築コースの生徒が取り組む「Wood Connect Project」は植林や間伐による森林の保全と、間伐材を利用した製品の作成・販売を目指す。山を豊かにすることは牡蠣がよく育つ海を育てることにも通じ、Oyster Projectとの協業にもなっている。機械科の生徒が取り組む「害獣駆除の箱罠」の研究は、当初溶接技術の練習を兼ねてのものだったが、地元農家の方の要望を受け、軽材質、センサー付き箱罠とアップグレードし、ついには生徒が狩猟免許を取得するまでに至った。地域の期待に応える活動が、年々育っている。

 

水俣川河口での牡蠣養殖実験。生徒はサイズや重さを測る実地リサーチやデータ収集の部分を主に担当している。

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