カテゴリー 12021年採択

宮崎県立都城西高等学校

対象者数 400名 | 助成額 200万円

https://cms.miyazaki-c.ed.jp/6015/htdocs/

Program都城西高校を拠点とした地域総ぐるみの次世代リーダーの育成

 新たな時代を生き抜くための汎用的な資質・能力を身に付けた持続可能な社会の創り手となる地域の次世代リーダーを地域と協働して育成することを目指す。地元の企業や生活する人々と密接に連携しながら、年齢や学校を超えた協働的および主体的で深い学びを実現するために、次の四つの目標を立て、その達成に向けた取り組みを実施する。 

1.資質・能力育成プログラムの開発 
 宮崎県中小企業家同友会と連携し、企業と生徒・職員の協働的な学びを構築する教育プログラムを開発し、学校と地元企業のつながりを強化するとともに、地域に開かれた学校を目指す。 

2.校外活動の充実と取り組みの発信 
 校外の探究活動発表の場やコンテスト、ボランティア活動へ生徒が積極的に参加できる組織づくりを図り、さらに取り組みや実績を効果的に発信する方法を開発していく。

3.校内における探究指導体制の構築 
 指導者研修や教材の開発に取り組み、教職員の指導力向上と負担軽減を推進していく。地域との目線合わせを定期的に行い、地域と協働した探究活動の実現を目指す。

4.フロンティア科に端を開いた本校の特色づくり 
 学校間連携や海外交流など、フロンティア科の新たな教育プログラムを開発し、その成果を普通科にも拡充することで普通科改革における本校の特色づくりを目指す。

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活動レポートReport

地元企業の経営者が 1年間メンターを担う探究活動

  2年連続して定員割れとなった普通科をどう魅力ある科にすべきか。昨年度突き付けられたこの課題に対して、都城西高等学校は「地域に根付いた次世代リーダー育成という特色を出していく」方針を打ち出した。連携先となったのが宮崎県中小企業家同友会だ。企業家による任意団体で、同校所在地の都城市には、154名が所属する「きりしま支部」がある。相談を受けた同会事務局の樋口浩美さんが提案したのが、「SDGsをテーマに、複数の地元企業の経営者が1年間メンターとなって生徒たちに寄り添う」というもの。樋口さんは「この取組はボランティアではなく、将来の顧客獲得、社員育成につながると考えていました。またここは後輩を育成する薩摩藩の郷中教育の気質がまだ残っており、二つ返事で快諾してくれた経営者も多くいました」と話す。

 約半年間で担当の福田映李先生が枠組みをつくり、2021年度からスタートした。支部からはさまざまな職種の28人の経営者が参加。生徒たちは希望の職種に分かれ3~6人のチームをつくり、探究活動を行った。例えば食品トレー製造企業のグループでは、環境問題について調べるために経営者からスーパーやリサイクル工場などを紹介してもらい、時には一緒に見学やインタビューを実施。調べた情報を経営者にフィードバックし、アドバイスをもらって、次のステップを考える。毎週来校できる経営者ばかりではないので、密に連絡が取れるようGoogleチャットを取り入れた。チャットで全体の進捗を確認している福田先生は、「自分の意見を述べるのが苦手だった生徒が、しっかりとした挨拶と報告ができているのを見て手応えを感じました」。また短期間で体制が整えられたことについては、樋口さんの存在が大きかったと話す。「28人の経営者と個別に連絡を取ることは学校側にとっては相当な負担。しかし樋口さんに話を通せば、すべての経営者とつながることができます」。一方、「経営者にとっても、若い世代と接点を持ったことで、戦略的な採用計画や事業の見直しのきっかけになっています。Win-Winの関係が継続させるコツだと考えています」と樋口さんは話す。

 卒業生の多くが県外の進学先へと進む。地元へ戻ってきた際に、親族や友人以外のネットワークを築いておくことが、「地域に根付く人材」の基盤になる。将来を見据えた地域活性化に向け、学校と企業が一体となった取組が始まっている。

10月に行われた探究活動の中間発表。メンターと共に、最終プレゼンに向けて中身をつめていく生徒たち

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