オンラインセミナー「理系ブロッサム」開催レポート

8月27日に開催した、理系を目指す女子高校生を対象としたオンラインセミナー「RIKEI BLOSSOM」に、全国23都道府県79校124人の高校生の皆さんが参加してくださいました。
理系分野で活躍するパイオニア的な存在の東京大学の大島まり教授のお話、三菱グループで働く若手理系女性社員と理系を専攻している全国の女子大学生とのグループディスカッションを通して、「勇気をもらえた」「勉強のモチベーションが上がった」等、参加者の皆さんからたくさんの感想をいただきました。

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理事長ご挨拶/
大島まり先生と高校生の質疑応答

平野信行理事長から、開催にあたり挨拶をさせていただきました。科学的なものの見方なくしては、複雑な物事に対して説得力のある解決策を見出せないこと、また異質なものを排除してきた結果として現在の日本の停滞があるとして多様性の重要性について述べた後、この二つの観点から、理工系を専攻する若者が減っていること、特に女性の比率が世界と比べて低いことに対する懸念について話しました。そのうえで、「ぜひ皆さんのほうから先輩たちに疑問・問題意識をぶつけていっていただきたい。そして、今日の経験も踏まえて自分自身の意思で将来を切り開いていってください」と、参加した高校生たちに語りかけました。

続けて東京大学生産技術研究所の大島まり先生から、これまでのキャリアや現在携わっている研究をご紹介いただいた後、これから複雑化する社会の中でのサイエンスがどのような役割を担っていくのか、またSTEAMという言葉に込められているように従来の科学技術の概念を超え、多様な分野に触れ知識を有機的につなげることの重要性をお話いただきました。そして、その後は、高校生からの質疑応答となり、大島先生の研究内容の詳細や将来求められる職業、自身の進路の相談など、次々に高校生から質問が寄せられました。

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ブレイクアウトルームで
「理系女子高校生の可能性」についてディスカッション

ブレイクアウトルームでは高校生6人前後のグループに、企業講師1人・大学生1人がついて、「理系女子高校生の可能性」についてディスカッションしました。まずは企業講師が自身のキャリアや現在の担当業務について簡単に説明、その後に質疑応答となりました。「数学が苦手だけど理系の道は進めるのか」「勉強のモチベーションが保てない」といった現在感じている相談から、「進路選択の時に大切にしていたことは」「理学部を出るとどのような職業があるのか」などこれからのキャリアに関する疑問など、次々に飛び出しました。最後に高校生たちに今の自分自身の気持ちを話してもらう場面では、「好きなことをやっていくのは勇気がいると思ったけど、話を聞いて好きなことを追いかけながらいろんな方向で仕事を選ぶことができると知れてよかった」「だれか他の夢を形にするというのがかっこいいなと思ったので、私もそういうことを視野に入れて自分の将来をしっかり考えていきたい」といった意見が聞かれ、この45分間で高校生の皆さんが、大きな手ごたえを感じてくれたことが感じられました。

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全員の前で自分が思っていること・
感じていることを話す

企業講師・大学生とディスカッションした後は、高校生と大学生とでこれまでに聞いた話をシェアする時間を設けました。同世代、また大学生と年の近い世代とのディスカッションでは緊張も解け、同じ悩みを持つことを共有したり、逆に「同世代なのにそこまで考えているなんてすごい!」という声も出ていました。また最後には全体で今思っていること・感じていることを自ら手を挙げて話してもらいました。自信が持てた、不安が解消された、学ぶための原動力になったなど、今日得られたこと、今後に生かしたいことを話してくれた高校生の皆さん。4時間というセミナーにも疲れることなく、本当に生き生きとした表情で話してくれました。

全員の前で自分が思っていること・感じていることを話す

参加者から見たRIKEI BLOSSOMの評価は?

Q1. 理系ブロッサム全体の感想をお聞かせください。

「満足」「やや満足」との回答は96%となり、多くの参加者の皆さんが、セミナー内容について評価し、また「気づき」「きっかけ」を得ることができたのではないかと思われます。

円グラフ
参加者のコメント
  • ◎理系の女性と話す機会がこれまでなく新鮮で楽しかった。
  • ◎積極的に意見交換できる雰囲気があった。
  • ◎仕事内容などを聞くことができ、将来のイメージがつかめた。
  • ◎積極的に質問している方々を見て、とても刺激的で尊敬の念を持った。
  • ◎参加者全員が主体となって学べる場は、本当に素晴らしい。
  • ◎普段全国の高校生と関わる機会は滅多にないのですごく貴重でよかった。
  • ◎将来に対する視野を広げることができた。

Q2. 大島まり先生のお話についての感想をお聞かせください。

前半は大島先生の専攻「バイオ・マイクロ流体工学」についてお話いただいたため、その内容が高校生にとっては難しかったようですが、全体で9割が「満足」「やや満足」と回答しました。コメントを見ると、後半にお話しいただいた理工系のすそ野の広がりや可能性について認識できたという声が多数ありました。

円グラフ
参加者のコメント
  • ◎これからの社会で必要な理系について知ることができた。
  • ◎医療の現場に携わって人の命を自分の研究で救うというのがとても素晴らしい。
  • ◎「理系と言えばこれ」という固定観念が崩れた。
  • ◎理系で学ぶことには学問としての数学や理科だけでなく、他にもいろいろな分野があるのだとわかった。
  • ◎当たり前を当たり前としない事を重要視した解説がとても興味をそそった。
  • ◎理系の幅が広がっており、今の私たちがこれからの主役だと仰っていたのが印象に残った。
  • ◎難しい話もあったけれど、どんなことをしているのか具体的に知ることができた。
  • ◎難しくて理解できない部分もあったので勉強しようと思った。

Q3. 三菱グループの若手女性社員の講話についてお聞かせください。

9割以上が「満足」「やや満足」と回答しており、全体的な満足度は高い結果となりました。高校生にとっては普段、家族と先生以外の社会人と話せる機会は少なく、企業の第一線で活躍する現役社員とのコミュニケーションは、自分の将来の進路をイメージできたり、また将来への不安解消に役立ったのではないでしょうか。また3~5人での少人数の開催についても、「意見が言いやすい」と好評でした。

円グラフ
参加者のコメント
  • ◎話し方がとても上手で聞いていてとても楽しかった。
  • ◎すごく話しやすくて有意義な時間だった。
  • ◎やりたいことを無理矢理に探すのではなく、見つかったときに備えて今から対策できることをすることの発想が新鮮だった。
  • ◎理系の話だけではなく、自分の将来の役に立つことも学べた。
  • ◎自分の将来について考える機会を得ることができた。
  • ◎みなさんが活き活きと仕事をなさっている姿を見て、勇気をもらった。
  • ◎好きなことを追求すればいいんだと思えた。
  • ◎企業のイメージがより具体的になった。
  • ◎少人数のため、沢山話す機会があった。

Q4. 「感想共有」の時間についてお聞かせください。

グループディスカッション後に、高校生にファシリテーターになってもらい、高校生と大学生だけの感想共有を行いました。コメントからは、他校の生徒、社会人、大学生が集まり、初めて出会う仲間の前で意見を言うような機会を初めて経験する高校生が多かったようで、とても緊張した様子がうかがえます。一方その中で、勇気を振り絞り、一歩前に出て、それが自信となっている姿が読み取れました。こうした場が、成長のきっかけとなってくれたのではないでしょうか。

円グラフ
参加者のコメント
  • ◎いろいろな地域に住む高校生と年齢も関係なく話せて楽しかった。
  • ◎自分と違う視点を持つ同級生と交流することができて刺激をもらえた。
  • ◎同じお話を聞いていても、多様な捉え方があることを実感できた。
  • ◎発言するのが苦手だったけど少し自信がついた。
  • ◎最初は緊張したが自分の意見を伝えることができた。
  • ◎自分から発言するって苦手意識を持っていたが、積極的に発言できた。
  • ◎学生のサポーターの方もいて話が進めやすかった。
  • ◎大勢の前で発言する、と言う普段学校ではなかなかできない体験ができた。
  • ◎いつもは積極的に自分の思ったことを話すことは出来なかったので、今回やってみて難しかったけど、とても有意義な時間だった。
  • ◎勇気を出してファシリテーターをしてみて少し自信になった。

Q5. もし理系ブロッサムに後輩が参加するとしたら、
どんなアドバイスをおくりますか?

後輩へのアドバイスは、参加する前の自分自身に対する励ましであり、「こうすればよかった」あるいは「こうしてよかった」など、セミナーを通して得られた変化や気づきがあったからこそ言える「本音」です。
例えば、Q4.のコメントでも見られたように、積極的に発言し、情報を自ら取りにいくなど、自分にはできないと思っている高校生が大半だったようですが、それに対して、「積極的に発言すべき」「勇気を振り絞って」といったアドバイスが出てきています。後輩へのアドバイスを言葉にすることで、「将来の自分へのアドバイス」としても認識してもらえたのではないでしょうか。
参加者の皆さんがセミナーに参加してくれ、さらに勇気を出して手を上げて質問し、自分の言葉で思いを語ってくれたことは大きな一歩です。この一歩を次のステップに生かせるよう、当財団は引き続き応援してまいります。

参加者のコメント

積極性、遠慮せず

  • ◎自分が疑問に思ったことはなんでも何度でも質問してみること。
  • ◎たくさん意見を言うと良い。
  • ◎どんなことでもたくさん質問した方がいい!
  • ◎気になってることは遠慮なく満足するまで聞くべき。
  • ◎積極的に自分の意見を発信するのが大切。
  • ◎受け身で話を聞かず、話を聞きながら質問を考えどんどん質問すること。

緊張・恥ずかしがらずに

  • ◎最初は怖いと思うけれど、それはほかの参加者も同じ。楽しんで欲しい。
  • ◎緊張しないで自然体で話せばいい。
  • ◎自らが心を開くことでより深い学びを得ることができる。
  • ◎話しやすくてとても貴重な経験になること間違いない!
  • ◎恥ずかしがらず、進んで質問をすることで、自分にとってより貴重な情報を得ることができます。発言を恐れないこと。

全国の高校生との交流、多様性

  • ◎自分が持っていない考えに触れることが出来てすごい充実感が出てくる。
  • ◎視野が広がるし、学年や県をこえた繋がりが出来るからとてもいい。
  • ◎自分の意見をしっかりと持って、違う視点の意見も受け入れる広い視野を育むことを意識するのが良い。
  • ◎理系女子はいいことが沢山あって、仲間もいっぱいいるよ~。

その他

  • ◎自分が理系のことに関しての不安や疑問がきっと解決できる。
  • ◎自分が理系に対してどのようなイメージを持っているのかを明確にしてから参加する。
  • ◎理系の現役の人たちがどんなふうにして仕事をしているのか、高校時代をどう過ごしていたかなど、自由に発言できる環境がある!
  • ◎思いついたことは自分の中でまとまっていなくてもどんどん発言してほしい。
  • ◎まず参加してみて!自分に今までなかった将来の選択肢が増えるので、ぜひ参加してみてください!
  • ◎自分の将来が明確に決まってない人は参加したほうがいいです。
  • ◎人生変わるから絶対参加した方がいい。
参加者のコメント
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