2024年7月13日、理系の道を目指す女子高校生を対象にしたオンラインセミナー「第3回理系ブロッサム」を開催し、全国から約122人の高校生に参加いただきした。
当日は日本人女性二番目の宇宙飛行士として国際宇宙ステーションにも滞在した山崎直子さん、ボディシェアリング技術の研究と事業開発で知られる琉球大学の玉城絵美教授のパネルトークに始まり、三菱グループの理系出身若手女性社員と現在理系を専攻している女子大学生・大学院生とのグループディスカッションを通して、今後のキャリアを具体的に描くきっかけとしてもらいました。
トークセッションからスタート
最初に当財団の妹背正雄常務理事から開会の挨拶をさせていただいた後、理系女子にとって憧れの存在である宇宙飛行士の山崎直子さん、ボディシェアリング技術※研究の第一人者である玉城絵美さんのパネルトークをスタートしました。
山崎さんからは、高校時代に友人とジャズダンスサークルをつくって活動したお話などを、玉城さんからは英語が苦手で、自宅から近い高校には理系か国際英語しかなかったために理系を選んだという意外なお話などを伺いました。
その後、Zoom上では高校生から、「理系に進んで楽しかったこと、つらかったこと」「学部から学校を選ぶべきか、学校から学部を選ぶべきか」「芸術にも興味があるので、芸術から理系へのアプローチはできないか」など、さまざまな質問が出され、それぞれに対してお二人から丁寧な回答がありました。
最後にお二人からのメッセージとして、「文理選択の一つの基準として、自分が長く続けられるかどうかも考えてみては」(玉城さん)、「一度進路を決めたからといって変えられないわけではない。自分で道をつくるくらいの気持ちで」(山崎さん)というアドバイスを頂きました。
※人の体やロボット、アバターなどと、重さや抵抗感など、さまざまな身体感覚を共有して、体験を共有するための技術
続いて、三菱グループ各社で働く理系学部出身の若手女性社員(企業名は下記参照)とファシリテーターとして参加した理系の大学・大学院生、それぞれ28人に協力いただき、Zoomのブレイクアウトルームに分かれて、各4~5人の高校生とグループディスカッションをしていただきました。 はじめに社員から、学生時代にどんなことに興味を持ち、なにを学んできたか。それが現在の仕事にどうつながっているかなどを語っていただき、その後にフリートークに移行。最初は高校生がなかなか話を切り出せない場面も見受けられましたが、ファシリテーターの助けもあって、次第になごやかに会話が弾んでいきました。内容も「理系を選んだら就職も理系に限られるのか」「自分が向いている理系の分野をどう確かめるか」「大学で学んだことはどう仕事に活かされるか」など、質問内容がより具体的になってきました。講師を務めた社員には、就職の際に文系職を選択した人も多く、「理系文系にこだわることなく、そのとき自分が進みたい道を」という言葉に大きくうなずく参加者の姿が見られました。また、年齢の近い大学・大学院生からのアドバイスも、大いに参考になっていたようです。 その後、高校生だけのチームに分かれ、それぞれのディスカッションでどんな対話があったか、どんな気づきがあったのかなどを発表。さらにもういちど講師・ファシリテーター・高校生の組合せの別のチームに分かれて2回目のディスカッションと情報共有の場が設けられ、「情報を得て、それをリフレクション(振り返り)する」ことを繰り返すとともに、さまざまな視点からの感想が受け取れるようにセミナーは進んでいきました。 最後に全員で感想を共有。「理系は進路の幅が広くてワクワクすることが多い。その後のキャリアも十人十色」「大学でも就職時でも進路は変えられることが分かり、それほど固執しなくてもいいと思った」「理系文系に関わらず、自分の興味と地続きの仕事をしている人が多い」「今まで学校の中しか見て来なかったが、もっと視野を広めて進路を選びたい」と、参加する前の不安や悩みを払拭して、未来を見据えた感想が飛び出しました。 3時間というセミナーも、あっという間に終了。参加した高校生にとっては、進路に関する前向きで重要なヒントを手に入れる機会となりました。
協力企業:AGC、キリンホールディングス、東京海上日動火災保険、ニコン、三菱化工機、三菱ガス化学、三菱ケミカル、三菱重工業、三菱商事、三菱地所設計、三菱自動車工業、三菱倉庫、三菱総合研究所、三菱マテリアル、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、明治安田生命保険
セミナー後、96人の方から、素晴らしいコメントを頂きましたので、ご紹介します。
RIKEIブロッサム全体の
評価を5点満点で
教えてください。
RIKEIブロッサムの
感想を教えてください。
ただ単に誰かの話を聞く、という機会なら中学の頃から多く用意されていたが、数人で対話をしながら話ができることはあまりなかったので貴重な機会だった。
その時自分が惹かれたものを選ぶ、という話がとても心に残りました。私は文理選択でとても迷っていましたが、自分の興味や、これから深めたい、続けていきたいと思うことが理系の科目に多いので、このイベントが理系に進む第1歩になったかなと思います!
さまざまな講師の方からの貴重なお話を聞けて、とても良かったです。また、全国各地のいろいろな高校生たちがいたので、進路について真剣に考えている人たちがたくさんいることが分かり、とても刺激になりました。
学校内にいると理系進学希望者が少なく不安ばかりでしたがたくさんの仲間に出会えて嬉しかったです。また、学校が違うからこその意見が聞けたり、年齢が近く同じような進路を目指しているからこその意見交換ができたりして貴重な時間を過ごすことができました。理系には論理的な考え方を養うことができることや、点と点が研究を通してつながる楽しさがあることを改めて知り、今進学がとても楽しみです。
RIKEIブロッサムへの参加を、後輩に薦めたいと思いますか?
薦めたいと思った方はその理由を教えてください。
理系のイメージがすごく変わったため
進路を選ぶのに対して、生の話を参考がとても有効だと感じたから。
実際の現場がどのような状況なのか知れるだけで大きな収穫になると思う。
今見ているのは狭い世界であることを知れる。
理系の職業について知ることができるだけでなく、これから文理・学部・大学など進路を決めていく中で、どう決めるかということも知ることができ、そこで生じる不安も緩和できるため。
初対面の方、いろんな経験している大人の方と話すということが新鮮だから。それから、調べても分からないような情報がたくさん得られたから。
とてもお薦めしたいです。私の学校の進路決定が2年生の終わりごろなので、もっと早く出会えてたらと、ちょっと悔しくなるくらい有意義なものでした。
パネルトークについての感想を教えてください。
憧れている方の話を聞けて、嬉しかったです。また、性格が対照的な2人の話を聞くことで、頑張り方は人によって変わるということが分かりました。
お二人共キャリアは違えど自分の好きを突き詰める姿勢がとてもかっこいいと感じました。自分も将来お二人のようになれたらと思いました。
文理の選択について本当に悩んでいたので、今の選択がこれからの人生の選択肢にはならない、ということを聞いてとても安心しました。どちらかに決めてもさまざまな分野に興味を持ち続けること、自分がわくわくすることを選ぶことが大切だと気付かされました。
有名人の方のお話が聞けたことがとても嬉しかったです。進路で悩んでいたことが、ピンポイントで解消されたのでとても有意義な時間でした。
私が幼い頃、理系に興味を持ったきっかけが山崎さんなので、お話を聞けて嬉しかったです。お二人の理系での苦労話だけではなく、理系の楽しさをお聞きすることができてより探究欲が湧きました。また、最後に山崎さんがおっしゃっていた「自分で道を切り開いていくくらいの気持ちで進んでいけばいい!!」という言葉が心に残っています。困難な道でも切り開いてこられた山崎さんの姿を目指して、これからも勉学に励んでいきたいと思います。
企業講師とのディスカッションの感想を教えてください。
実際に社会人として働いてらっしゃる方々のお話を聞く機会はなかなかないので、すごくいい学びになりました!
私が相談をしたところ、自分のやりたいことを突き詰めていくといいと仰っていただき、心が軽くなった。
大学と就職先で分野を変えている方、幼少期からの興味で分野を決めた方など、キャリアが十人十色で素敵でした。私も自分の興味を大切にして自由に進路を決めていいのだという勇気をもらいました。
理系は当たり前を変える仕事だという言葉が印象に残りました。また、理系にはまだまだ自分の知らない選択分野があるのだとわかりました。
少人数なので質問もしやすくてよかった。社員の方のお話で、大学卒業後にやりたいことが決まってなくても、大学在学中にさまざまな講義を受けることでやりたいことが見つけられるというお話があり、新しい気づきを得られ、不安が払拭されました。
進路選択について、その時の気持ちや体験を細かに聞けてよかった。
理系に行って将来の夢につながるかどうか不安でしたが、お話を聞いて、自分の気持ちに素直になるということが何よりも大切だとわかりました。
世の中に貢献できるようになりたいという想いから職業を選んだというお話を聞いて、自分のなりたい将来像について改めて時間をかけ考えてみたいと思いました。
その他のコメント
聞くだけでなく、聞いたことをまとめて共有することで、オンラインの中でも学びを深めることができ、良かった。理系、そして理系に進む女子についての話をする機会が少ないため、さまざまな新しい考え方を知ることができた。理系の進路を体験してきた方からのアドバイスは具体的で、心に響いた。
「まずは一歩踏み出してみる」ことが大切だと思った。興味のある・ないにとらわれず、広い視野でいろいろなことに挑戦していくことこそが、今後変わっていく社会の中で活躍していくために重要なことだと思った。
イベントに参加することができて本当に幸せです。参加前は周りに理系女子があまりいないせいか、孤独感があったのですが、イベントで同志に出逢うことができて嬉しかったです。また、なんでも経験してみることが大切ということをたくさんの方が話されているのが印象に残りました。この経験を糧に頑張っていきたいと思います。